Power BIの代替製品と考慮すべき競合製品10選

Power BIは、データの分析とビジュアライゼーション向けにMicrosoftが開発し、利用されているツールです。さまざまな利点を得られることから、確固としたユーザー基盤を築いています。その一方で、少なからず課題を抱えているツールでもあります。Microsoft製品をすでに利用している場合、Power BIでは自社固有のニーズや目的に必ずしも対応できないことについて、いくつもの理由が思い当たるのではないでしょうか。

この記事では、Power BIのいくつかの難点について考察します。また、業務に即した適切なデータ分析ツールを選定するうえで不可欠な調査情報として、Power BIの代替製品も取り上げます。

目次:

Power BIが抱える課題

ライセンスの取得や維持に要する費用が高額:Power BIの大きな弱点の1つは、その料金体系です。無料のバージョンも提供されていますが、すべての機能を利用するには有料のサブスクリプションが必要であり、個人ユーザーと中小企業のどちらにとっても大きな負担になり得ます。

データソースが限られている:Power BIは、データソースに関していくつかの制約があります。使用しているデータベース、アプリケーション、プラットフォームのすべてとシームレスに連携できるとは限りません。したがって、各種のソースから効果的にデータを収集し、分析する能力に限界があります。

学習曲線が複雑:Power BIは、使い始めたばかりの場合、きわめてわかりにくいと感じられる可能性があります。Power BIの高度な機能と複雑なユーザーインターフェイスは、データ分析に初めて触れるユーザーを尻込みさせるものになりかねません。このため、専任のITチームを持たない中小企業にとっては採用しにくいツールとなっています。

高度な機能の不足:Power BIは、分析とビジュアライゼーションの基本機能を提供するツールです。その一方で、予測モデリング、機械学習との連携、より高度な統計的分析を考慮に入れると、競合製品の高度な機能と比較して機能の不足を感じることがあります。

エクスポートと共有のオプションが限られている:Power BIは、レポートおよびダッシュボードのエクスポート機能と共有機能が柔軟性に欠ける面があります。このため、データストーリーテリングの機能に限界があり、日々の意思決定においてデータが本来の効果を発揮できません。

Power BIの代替製品の考察

ここでは、データと分析の業務をいっそう実りあるものとするPower BI代替製品の選定に向けて、各製品の有力なアセットや弱点を含め、代替になり得る一連のビジネスインテリジェンスツールを紹介します。 

1. ThoughtSpot

端的に言えば、ThoughtSpotが筆者の推奨製品であることは隠せません。公平を期するため言い添えると、ThoughtSpotではThoughtSpot製品を業務のあらゆる側面で利用しています。

ThoughtSpotは、データを分析し、使いやすい自然言語検索エンジンによってデータに関する質問の回答を得られる強力なデータ分析プラットフォームです。また、AIを活用した分析によってインサイトを自動生成し、データ内に異常値が検出された場合はアラートを受信して、調査に着手できます。このような異常値は、ThoughtSpotがなければ把握し得ないものです。

 

Power BIに対するThoughtSpotの強み

  • 十分な情報を得たうえで意思決定に進むには、データが最新の状態に維持されていることが不可欠です。ThoughtSpotでは、データがリアルタイムで更新されます。同様の環境をPower BIで実現する場合に必要となる複雑な作業や追加のコストは生じないため、Power BIの有力な代替製品になります。 

  • ThoughtSpotはセキュリティとデータガバナンスの機能を備えており、機密データへのアクセスの制御、役割に基づく許可の導入、ユーザーアクティビティーの監視を実現できます。これらの機能は、コンプライアンスとデータ完全性について万全を期するうえで必要不可欠です。これに対して、Power BIで分析コンテンツの作成と公開プロセスを統制し、ガバナンスの手順を適用しようとした場合、作業はきわめて込み入ったものになり得ます。 

  • 状況が刻々と移り変わる現代社会では、データに出先でアクセスできることが生命線になります。この点を踏まえ、ThoughtSpotはiOSとAndroidの両方についてモバイルアプリを提供しています。場所を問わず、たとえオフラインであってもデータにアクセスして分析できます。Power BIには、この分野で制約が存在しています。

  • ThoughtSpotは、エンドユーザーがセルフサービスで分析を実行できる設計となっています。レポート、ダッシュボード、ビジュアライゼーションをIT部門やデータアナリストに頼ることなく作成できます。Power BIのユーザーインターフェイスはおおむね直感的に利用できますが、すべての機能を自在に活用するには分析のスキルが必要です。 

まずは無料トライアルにご登録のうえ、ThoughtSpotの機能をお試しください。

2. Tableau

Tableauも知名度の高いデータビジュアライゼーションおよび分析のツールであり、一般に、Power BIに最も近い競合製品であると考えられています。Tableauでは、複数のデータソースを接続し、データを合成して、インタラクティブなダッシュボードとレポートを作成できます。

Tableauは、予測、統計的モデリング、データの準備といった高度な分析機能を備えています。また、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドのソリューションを含む多彩な形態で展開できます。ただし、Tableauの機能の価値を余すところなく引き出すには、技術部門以外のユーザーを対象としたトレーニングを増やさざるを得ません。

Power BIに対するTableauの強み

  • Tableauのインメモリデータエンジンにより、大規模なデータセットが効率的に処理され、可視化されます。Power BIも大規模なデータセットに対応できるものの、パフォーマンスの点ではTableauが勝っています。

  • Tableauのインターフェイスはドラッグアンドドロップで直感的に利用できるため、Power BIのインターフェイスと比較して導入がスムーズに進みます。

  • Tableauには、ツリーマップやバブルチャートといった高度なオプションをはじめ、複雑なデータを可視化するためのグラフやビジュアライゼーションのオプションが豊富に用意されているのに対して、Power BIはカスタマイズのオプションがやや限られています。

💡詳細な比較については、『Power BI vs Tableau(Power BIとTableauの比較)』をご覧ください。

3. Mode

Modeは、データ分析とビジネスインテリジェンス向けの多用途プラットフォームです。Power BIの代替となるこの製品は、SQL、Python、Rに対応しているため、データ分析の効率が向上します。クラウドベースのSQL Editorとコネクテッド型のPythonノートブックをシームレスに切り替えてスムーズに分析を実行し、視覚的なダッシュボードとレポートをビジネスユーザーが生成して配布できます。 

Modeの統合型アプローチは、インサイトをすばやく確実に獲得し、反復的な作業を促進できるものとなっています。Modeは、多くの場合、データアナリスト、データサイエンティスト、ビジネスプロフェッショナルがインタラクティブなデータレポートとダッシュボードの作成に利用しています。

Power BIに対するModeの強み

  • ModeはPythonおよびRと連携できるため、複雑なモデルの構築、統計的分析の実施、機械学習タスクの実行に向いています。統計と機械学習の機能に関して、Power BIはModeと同等の水準にありません。

  • Modeは、データベース、データウェアハウス、クラウドベースのストレージを含むさまざまなデータソースに接続できます。このため、多様なデータインフラストラクチャーを導入している組織に向いています。Power BIは、Microsoft関連のデータソースおよびサービスにしか接続できません。

  • Modeは、データのビジュアライゼーションとダッシュボードに関するカスタマイズ性が高く、具体的なニーズに合わせて調整できます。きめ細かなカスタマイズに関して、Power BIでは制約が生じる場合があります。

Modeを活用した高度なデータ分析については、今すぐお試しいただけます。無料トライアルにご登録ください。

4. Qlik Sense

Qlik Senseも、データを個別に探索して分析できるPower BI代替製品です。インタラクティブなダッシュボードやドラッグアンドドロップ機能を含む、データのビジュアライゼーション機能が提供されます。Qlik Senseでは、パーソナライズされたレポートを作成し、チームのメンバーと共同で作業を進め、あらゆるデバイスでデータにアクセスできます。 

Power BIに対するQlik Senseの強み

  • Qlik Senseは、あたかもデータと対話しているかのように、ユーザーがデータを違和感なく簡単に探索できる連想エンジンを搭載しています。Power BIは、データのモデリングに関しては従来型に近い手法を採用しており、構造が固定的な場合や直感的に使いにくい場合があります。

  • Qlik Senseはリアルタイムの監視機能を備えています。一方、Power BIでは追加の設定が必要になることがあります。

  • Qlik Senseには、グラフを作成してカスタマイズするためのオプションを拡充するVizlibなど、追加のツールが搭載されています。Power BIでは、カスタムビジュアルのSDKを利用して独自のビジュアルを構築できる一方、Qlik Senseの場合は、エクステンションのライブラリを活用することによって、より多くの方法で特殊なグラフを作成し、自在に活用できます。

5. Looker

Lookerも、Power BIに比肩する機能を備えた競合製品です。データの統一的なビューが提供され、発見事項を探索、分析、共有できます。強力なデータモデリング言語であるLookMLが提供され、データモデルを定義して、再利用可能な指標とディメンションを作成できます。Lookerのインターフェイスは直感的に利用できるため、インタラクティブなダッシュボードやレポートの作成が簡単です。

Lookerは、予測モデリングおよび機械学習との連携を含む高度な分析機能を備えています。オンプレミスとクラウドの両方のソリューションがあり、柔軟な展開オプションが用意されています。

Power BIに対するLookerの強み

  • Lookerのオープンなプラットフォームを利用して、開発者がAPIでカスタムアプリケーションと拡張機能を作成できます。Power BIではAPIとカスタムビジュアルが提供されますが、Lookerの拡張性に富むオプションのほうが汎用性に優れています。

  • セキュリティに関しては、LookerはGoogle Cloudと連携できることから、Power BIと比較して強力な機能を備えています。

  • Lookerは複数のデータソースに対応し、強力なSQL機能を搭載しています。Power BIにも多数のコネクターが用意されていますが、連携の程度はコネクターによって異なる場合があります。

💡詳細な比較については、Looker vs Power BILookerとPower BIの比較をご覧ください

6. Domo

Domoはクラウドベースのデータ分析プラットフォームであり、さまざまなソースのデータを取りまとめて、リアルタイムのインサイトを提供します。インタラクティブなダッシュボードとレポートの作成用に、ドラッグアンドドロップに対応したユーザーフレンドリーなインターフェイスが用意されています。Domoのデータ連携機能を利用すると、オンプレミスとクラウドのデータソースを接続できます。異常値検出、自然言語処理、機械学習をはじめとする高度な分析機能が提供されています。

Power BIに対するDomoの強み

  • Domoは、技術スキルのレベルがさまざまに異なるユーザーが利用できる設計となっています。これに対して、Power BIの学習曲線は勾配が急であると考えられます。

  • Domoには、一連の包括的な構築済みコネクターが用意されています。Power BIも、コネクターのエコシステムは強力なものとなっています。ただし、多様なデータソースにすぐ接続したい場合、より適切な選択肢となるのはDomoでしょう。

  • Power BIと比較した場合、料金オプションはDomoのほうが柔軟です。

7. Sisense

Sisenseは、大規模なデータセットを準備、分析、可視化できるデータ分析プラットフォームです。ビッグデータの処理およびクエリーパフォーマンスの高速化を可能にするデータモデリングエンジンを搭載し、Power BIの有力な代替製品の1つとなっています。Sisenseのドラッグアンドドロップ対応インターフェイスでは、インタラクティブなダッシュボードとレポートをコーディング作業なしで作成できます。AIを活用した検索結果の提示、予測モデリング、埋め込み分析を含む高度な分析機能が提供されます。 

Power BIに対するSisenseの強み

  • Sisenseでは、コードファーストなモデルデータがデータアナリストに提供されるのに対して、Power BIではPower QueryやPower Pivotといったビジュアルツールを使用します。

  • Sisenseには、広範なカスタマイズに対応した、分析を埋め込むための開発者ツールキットが用意されています。Power BIは埋め込みオプションを備えていますが、ローコードとカスタマイズの機能がやや限定的です。

  • Sisenseは、開発者向けのバージョン管理機能を追加するGitとの連携に対応しています。Power BIには、Gitと連携するためのネイティブ機能がありません。

8. MicroStrategy

MicroStrategyは、データを分析してレポートを作成するための広範な機能を備えたPower BI代替製品です。データ検出、ビジュアライゼーション、高度な分析に対応した統一的なインターフェイスが提供されます。MicroStrategyのモバイルアプリを利用すると、出先でインサイトにアクセスして、チームメンバーとの共同作業を進めることができます。

MicroStrategyでは、予測モデリング、データマイニング、地理空間分析をはじめとする高度な分析機能が提供されます。AIとMLの機能も備えていますが、これらの機能はやや柔軟性に欠けます。

Power BIに対するMicroStrategyの強み

  • オープンソースのプラットフォームであることから、多岐にわたるデータソースにシームレスに接続でき、Power BIと比較して適応力に富んでいます。

  • MicroStrategyは、より高度な分析機能と予測モデリング機能を搭載しています。Power BIよりもはるかに洗練されています。 

  • MicroStrategyは、複数のプラットフォームにわたって一貫性のあるユーザーエクスペリエンスを実現しています。Power BIでは、プラットフォーム横断型のシームレスなエクスペリエンスは必ずしも提供されません。

9. GoodData

GoodDataは、クラウドを基盤としたビジネスインテリジェンスと分析のプラットフォームであり、データから価値を引き出すことができます。データのビジュアライゼーション、レポート作成、分析のためのツールとサービスが提供され、データドリブンの意思決定および競争力の獲得が容易になります。

Power BIに対するGoodDataの強み

  • GoodDataではコーディング機能を備えた開発者ツールが提供されるため、ニーズに基づいて高度なカスタマイズを構築できます。一方、複雑な開発が必要になる場合、Power BIはこの点に関して制約があります。

  • GoodDataには、React SDK、ウェブコンポーネント、iframeなどのテクノロジーを利用した多岐にわたる埋め込みオプションが用意されています。Power BIの場合はAzureのホスティングが必要であり、Microsoftが提供しているAPIとSDKを使用しなければなりません。

  • Power BIは、Microsoftの他の製品やサービスと緊密に統合されています。このため、Microsoft以外のテクノロジーを取り扱う場合は互換性の問題につながる可能性があり、柔軟性に欠けます。GoodDataはプラットフォームに依存しない設計であり、特定のベンダーのエコシステムに拘束されることがありません。

10. Zoho Analytics

Zoho Analyticsはクラウドを基盤としたビジネスインテリジェンスとデータ分析のプラットフォームであり、さまざまなソースのデータを分析して可視化できます。インタラクティブなダッシュボードとレポートを作成するためのドラッグアンドドロップインターフェイスを備えています。また、広く普及しているビジネスアプリケーションやデータベースと接続するための、広範なデータコネクターと連携オプションが提供されています。 

Power BIに対するZoho Analyticsの強み

  • Zoho Analyticsでは、レポートやダッシュボードをライセンスのない閲覧者と無料で共有できます。通常、Power BIでレポートを表示して操作するにはライセンスが必要です。

  • Power BIと比較すると、Zoho Analyticsは予測分析の機能が優れています。広範なカスタム予測モデルおよびMLを応用したシナリオ分析が提供され、データドリブンの意思決定に向けて、より優れた柔軟性と予測精度を実現するものとなっています。

  • Zoho Analyticsは、Zohoクラウドとオンプレミスのインストール環境を基盤として展開できます。また、AWS、Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウドプラットフォームへの展開にも対応しており、Power BIと比較して展開の選択肢が豊富です。

適切な製品の選定

自社に最適な代替製品を選定するには、機能、料金体系、使いやすさを基準として比較することが重要です。自社の具体的な要件を考慮し、個々の代替製品が自社のニーズとどのように合致しているかを評価します。

Microsoft製品を採用している企業がデータ分析機能の組み込みを検討するにあたっては、Power BIが一般的な選択肢となっています。しかし、この記事で取り上げた代替ツールは、データ分析のプログラムに革新をもたらし得る機能を備え、より大きな価値をユーザー企業に提供できます。ThoughtSpotをはじめとする最新のBIソリューションを導入することによって、データドリブンのビジネスへの転換を促し、業績の向上と競争力の強化を果たすことができます。

適切な製品の選定

今回、Power BIの代替となるさまざまな製品について見てきた中では、データ分析を本当の意味で変革し得る一連の包括的な機能を備えた、ある1つのソリューションが際立っています。Power BIは有用性の高いツールですが、ThoughtSpotはいっそう利用しやすい強力なソリューションであり、データドリブン型への転換を目指す企業にとって最適な選択肢といえるでしょう。

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