INTRO 

データの10年

ヘミングウェーを引用するならば、変化とは「徐々に起き、やがて突然の変化となる」ものです。

2019年以降、世界は劇的に変化しましたが、実はビジネス界で見られる変化は、多くの意味で、以前から進行していた変化が顕在化したに過ぎません。

この10年、テクノロジー分野では、すでにいくつかのパラダイムシフト的な進化が起きていました。ギグエコノミー、デジタルコンテンツのストリーミング、商業宇宙旅行などは、もはや普通のことになっています。宇宙空間での生産、メタバース、車の自動運転も、もはやSFではありません。

そして、クラウドやAI、デジタル化などの技術はビジネスの最先端で活用されています。Web3、量子コンピューティング、5Gといった新たな進化とともに、まったく新しい世界が構築されようとしているのです。このようなデジタルの発達は、それを活用した企業にはチャンスをもたらしますが、活用できない企業にはリスクとなります。

具体的にその中身を見ると、このトレンドを支えているのは膨大なデータ。それも、すべてのデータがクラウド上にあるという前例のない状況です。

私たちは、決定的なデータの10年に突入したのです。この先10年で優位に立つ企業が、新しい世界を構築することになるでしょう。貴社もそのような企業になるべきではないでしょうか。

この電子書籍では新たなデータの10年の展望を探り、真の「データドリブン」への移行を成功させるヒントを提供します。また、新時代のエンゲージメントルールを解説し、今日の組織が直面している変化の激しい現実について、世界的なデータリーダーたちの意見を紹介します。そして最後に、来るべき時代の設計者となるためのアドバイスを提供します。

 
一世代に一度だけ、レガシーを創り出すチャンスが大きくなる時期があります。それは、エコシステムに真の地殻変動が起こったときです。今、私たちはそのような時代を生きているのです。
Author
Ajeet Singh共同創業者兼エグゼクティブチェアマンThoughtSpot
 

CHAPTER 1 

なぜ「決定的なデータの10年」なのか?

その証拠は、あらゆるところにあります。データ量は1日約 250京バイト のペースで爆発的に増え続けています。

ビジネス界では、データが数百億ドル規模の取引や買収の対象となっています。MicrosoftによるLinkedInの260億ドルの買収や、OracleによるCernerの280億ドルの買収がその例です。

企業のデータの価値が企業自体の価値より 2~3倍 大きいこともあります。

SnowflakeやDatabricksといったモダンデータスタックの基幹をなす企業は、市場記録を更新し続けています。2020年、Snowflakeは、 史上最大のソフトウェアIPO となりました。むろん、目を引く広告のおかげではありません。

これは単に金額や膨大なデータ量だけの話ではないのです。今がデータの10年であるのは、仕事のやり方や市場の力学に対してデータが劇的なインパクトを持っているからなのです。

データが行動を促しています。データが長期的な既存の権力構造をひっくり返しつつあります。そして、データがさらに民主化されるにつれて、市場におけるパワーシフトが拡大し、否定できない差し迫った変化であることが明白になるでしょう。

マクロ的なパワーシフト

今日、データドリブンのパワーシフトによってあらゆる分野が再定義されつつあります。個々の企業が関与しているかどうかに関係なく、このパワーシフトは現実に起きているのであり、まだそのインパクトに気づいていなくても、気づくのは時間の問題です。

 

視聴者の体験を常に
念頭に置く

Jaya Kolhatkar氏

Disney Streaming
チーフデータオフィス

次は皆さんが行動を起こす番です

ビジネスを成功に導くためには、こうした変化に真正面から対応し、一歩先を行くための新たな戦略を持たなければなりません。今日の行動が、ビジネスの今後10年あるいはそれ以上の未来を決定づけることになります。

幸い、この変化を動かしている潮流そのものが、変化の中で優位に立つための答えです。それは、皆さんが持つデータです。

データ活用戦略こそが、競争力を決める最大の差別化要因なのです。優れた製品を作ること、 最前線で素晴らしい顧客体験 を提供すること、社員の エンゲージメント を確保すること。いずれの場合もデータが鍵となります。

とはいえ、データ収集が目的になってはいけません。行動につながってこそ、データの意味があります。

 


限界を広げるためにデータを使う

Sunny Bedi氏

Snowflake
CIO兼CDO

データ判断が持つ長期的なインパクトに注目

データに関する今日の判断が次の四半期の指針となり、年間目標を確実に達成する助けとなるでしょう。しかし、実はそれ以上の意味があります。今日の判断が、チームや部門、ひいては組織全体が新時代に優位に立つための体制を整えることになるからです。そして、顧客、業界、おそらくは世界全体に対しても長く続く影響を生むからです。

消費者に変化をもたらすことができると知ってもらうことが、この旅の大きな部分を占めています。プラスチック容器がフランスの6倍の大きさになるのを阻止することが目標です。数字が見えるようにすることで、インパクトを与えることができるのです。
Author
John Hughes氏最高戦略責任者Modern Milkman
 

今後何十年も続くレガシーを作る、またとないチャンスだとも言えます。

もちろん、変化は簡単ではありません。既定路線を進む方が簡単、あるいは賢明なように感じることも多々あるでしょう。しかし、この決定的なデータの10年では、それ以上のものが求められているのです。

技術スタックの再定義によって、見過ごすことのできない大きなチャンス、すなわち消費者へのパワーシフトを可能にするチャンスが生まれます。この変化を捉えた企業は、現在のチームや顧客だけでなく、将来のチームや顧客に利益をもたらすレガシーを作ることができます。

過去10年の戦略に沿って同じ道を進むという選択肢もありますが、データの活用を変えるのは大きなチャンスです。ただ、その過程にはさまざまな失敗も発生します。

まず先に数々の失敗例を見てから、何をすべきかを考えましょう。

 

世界的なパンデミックの中で
レガシーを創り出す

Brendon Hill氏

Becton Dickinson
HealthSightプラットフォーム担当副社長

ビジネスの足を引っ張るデータの失敗

新しいデータの10年に向けて取り組む企業は多いのですが、過去との決別はそう簡単なものではないようです。以下のようなことが思い当たるでしょうか。

社員がデータを意思決定に有効に活用できていると考えるエグゼクティブの割合は、わずか 10% です。

今あるツールやリソースでデータにアクセスしたり活用したりできる自信がないと考えるエグゼクティブは、全体の 3分の2 です。

20年経過しても、データ分析の採用率は約 30% にとどまっています。

一体どうなっているのでしょうか?利用できる分析技術が大幅に進歩しているにもかかわらず、なぜ企業は行動を促すためにデータを使うことに悪戦苦闘しているのでしょうか?

ここで、企業が陥りがちな大きな失敗を紹介します。このような問題があると、決定的なデータの時代に優位に立つことは望めません。

失敗その1

凡庸なベンダーに大きな期待をしてしまった…

多くの企業が従来型の汎用ツールを手放せずにいます。しかし、データ新時代の現実にはそのようなツールでは対応できません。1つの課題ならうまく処理できるかもしれませんが、モダンデータスタックには接続できません。

さらに悪いことに、従来型ツールは今日のデータの課題に対応できるように構築されていません。旧来のBIツールはデスクトップやシングルサーバーのアプリケーション向けに作らており、今日のクラウドベースのデータウェアハウスの規模には、うまく対応できません。

データの規模だけでなく、今日のデータドリブンの企業がデータに寄せる期待にも対応できません。ダッシュボードやキューブ、抽出に関連して作られたツールは、ユースケースの数と内容が急増するにつれて機能しなくなります。

Dimensional Researchによるレポートでは、旧来のBIダッシュボードに頼る企業でこれが顕著だと報告されています。

失敗その2

インサイトの取得をデータアナリストに依存しすぎた…

データを意思決定に使おうとするビジネスユーザーが、データアナリストにお伺いを立てるというのは、もはやナンセンスです。双方にとって時間の無駄でしかありません。 Harvard Business Review の調査によれば、組織の87%がフロントラインワーカー(現場の最前線で働く従業員)にデータを活用する力があれば業績が向上するはずだと考えていますが、実際にデータを社員の手に渡したのはそのうちわずか20%でした。

一方、データアナリストの 3人に2人 が、利益につながるアイデアを実践するだけの時間が十分にないと回答しています。なぜなら、ダッシュボードのメンテナンスやカスタマイズされたレポートの提供に就労時間の半分以上を取られているからです。

失敗その3

重要なインサイトを静的なダッシュボードに貯め込んでいた…

データの目的は、行動を引き起こすインサイトを生み出すことです。そのためには、フロントラインワーカーが実際に利用できる形でインサイトが提供される必要があります。

残念ながら、インサイトが実を結ばずに終わることがしばしばあります。ツールが相互にやり取りできないからです。たとえば、従来のプロセスでは、社員は手作業でインサイトを見つけ、会議に出席し、結果を発表し、それを使って必要な変化を実現するようチームに提案していました。この1つひとつの段階にヒューマンエラーの危険性や新しい質問が出てくる可能性があり、堂々巡りが始まってしまいます。

それにもかかわらず、多くの企業が今もデータ抽出と静的なダッシュボードに依存しています。確かに必要なインサイトは得られるかもしれませんが、インサイトが最新情報でない、必要なときにアクセスするのが難しい、断片化して頼りにならないといった事態が多く発生しています。

Dimensional Researchのレポート によると、旧来のBIダッシュボードを使う企業では、以下のような状態です。

86% インサイトを得るために使われたデータのうち最新ではないデータの割合

41% 2か月以上前のデータに基づいたインサイトの割合

これはデータの10年に優位に立とうとする企業には大きな障害となります。Harvard Business Reviewの調査に回答した組織の3分の2が、BIと分析を使って組織の業績を向上させるには、結局、生きたデータを使うこととデータが信用できることに尽きると考えていました。

クラウドに接続したエコシステムに加わりましょう。このテクノロジーを使えば、企業はタイムリーなデータにアクセスできるだけでなく、インサイトから直接、行動を推進できます。システムが相互に作用するからです。

失敗その4

構築の土台となるデータ基盤に柔軟性がない…

あまりにも多くの組織が静的なダッシュボードに依存し、その上、同様に静的で柔軟性のないデータパイプラインに依存しています。

ビジネスに関する新しいクエリーやユースケースが現れるたびに、ビジネスユーザーはアナリストに相談しなければならず、アナリストはデータエンジニアにその特定のデータをフローに組み込むように依頼し、エンジニアはITチームに新しいデータの検証、管理、保護を依頼して、ようやくモデル化できるようになります。プロセスが積み重なり、ストレスがたまり、費用もかかります。

今日のデータリーダーに必要なのは、プログラム可能なデータモデルと、きちんと構築されて管理しやすく柔軟性もあるデータ基盤です。それがあってこそ、データの10年に新しいチャンスと課題が生まれてもその都度対応できるのです。

失敗その5

サードパーティーデータの可能性を顧みなかった…

組織の現実について完全かつ包括的な視点を持つためには、入手可能な サードパーティーデータ というリソースを活用する必要があります。それ自体は決して新しいことではありません。

ただ、多くのリーダーたちが、データの状況が今も5年前と変わらないと勘違いしているのです。今日利用可能なデータの量そして種類は、5年前のそれとは比べ物になりません。こうしたデータの把握と利用は、もはや未来のことではありません。いま、目の前にあるのです。

当然のことながら、クラウドデータストレージがあればデータ共有のためのデータ移動は必要なくなり、プロセスは簡単に可視化や拡大が可能になります。ただし、クラウドのデータウェアハウスを構築しても、モダンデータスタックに対応していなければ、サードパーティーデータを準備・分析しようとしても手間のかかる手動のプロセスが発生することになります。

情報を持つことは確かに強力ですが、情報を共有することはさらに強力になります。
Author
Mani Gopalakrishnan氏デジタルトランスフォーメーション担当副社長Kraft Heinz

失敗その6

データにアクセスできない、低レベルのUXになってしまった…

データインサイトはアナリストレポートだけのものではありません。ビジネスユーザーも、顧客も、フロントラインワーカーも、今日の「データドリブン」の市場で闘うにはデータをすぐに利用できる必要があります。それなのに、多くの企業のデータはBIプラットフォームの中でサイロ化していて、リアルタイム分析を社員の日常業務の中に組み入れることができていません。

社員や顧客は欲しいデータを探し回って時間を無駄にすべきではありません。データは日常的に使うアプリ(たとえば、Slack、Salesforce、Google Docs)の中に、分かりすく用意されている必要があります。

ユーザーは、データ専門家のサポートがなくても、使い慣れた自然言語でビジネス上の質問を行える必要があります。ユーザーが分析ツールを十分活用してくれないと不満を漏らす企業は、多くのユーザーがそのツールを使うことによって感じるイライラや迷路のような体験について、恐らく十分に理解していないのではないでしょうか。

ここから本当の革命が始まります。この業界の歴史上、ThoughtSpot のおかげで、ユーザーが主導権を握ったのはこれが初めてです。彼らはどこに行きたいかを決めます。彼らは何を検索したいかを決定します。彼らは、探索する領域を決定します。
Author
Matt Lukowski氏分析担当ディレクターHarri

このような失敗にビジネスの足を引っ張られてはなりません。データの10年で優位に立つために、 ThoughtSpotの30日間無料トライアルを開始しましょう

CHAPTER 2 

データの10年において優位に立つための6つのルール

ではどうすれば、2014年当時のようなインサイトから抜け出して次の10年に求められるインサイトを手に入れることができるのでしょうか?どうすれば、多くの企業が陥りやすい失敗を避け、新しいデータ環境で優位に立つことができるのでしょうか?

ThoughtSpotは、データの10年に向けてすでに真正面から臨んでいるお客様と協力する中で、何が必要なのかを検証しました。その結果、ビジネスはそれぞれ違っても、成功している企業は共通の6つのステップを踏んでいることが判明しました。今回、それらのステップをデータの10年の6つのルールとしてまとめました。これらのルールを実践すれば、データリーダーとしての準備ができるはずです。

モダンデータスタックを構築する場合、従来型のワンストップショップ的なベンダーが提供する「事足りる」テクノロジーを使うという罠にはまりがちです。

モダンデータスタックのフローの解説

しかし、「事足りる」ものは、実際には十分ではありません。今の時代には不十分なのです。

 

フロントラインワーカーの 80% 以上が、既存の分析ソリューションは満足度が低いと報告しています。

フロントラインワーカーの 86% が、もっと良いインサイトテクノロジーが必要と回答しています。複数のデータスタックを利用している企業は少なくありません。マーケティングと顧客のデータはCRMにあり、財務と営業のデータはPOSシステムにあるといった具合です。その結果、データはサイロ化し、アナリストはデータが語るストーリーの一部しか見ることができません。全体像は決して捉えられないのです。

もちろん、多くの企業がデータをクラウドに移して、既存のデータスタックの抱える問題を解決しようとしています。けれども、クラウドのデータストレージは第一歩に過ぎません。クラウドの柔軟性と可能性を100%活かすためには、スタックのレイヤーごとに最善のテクノロジーを使う必要があります。

「エンドツーエンド」は新たな標準、すなわち、データを基盤とする世界で成功するための最低条件です。しかし、このデータの10年において「事足りる」と「素晴らしい」の違いは圧倒的で、「事足りる」テクノロジーだけで長期的に成功することはできません。たとえその方が簡単だとしても。

そして、やがてチームも顧客もそれに気づくでしょう。

 
今日の企業は、データの成熟度曲線を上昇させ、従来の履歴分析から予測・処方的分析に移行したいと考えています。しかし、サイロ化したデータスタックでは、これを実現することはできません。
Author
Chris Hecht氏コーポレートディベロプメント&プロダクトパートナーシップ担当SVPDatabricks
 

モダンデータスタックに対応できる最善のツールの選び方

モダンデータスタックの力を活用すると決めたら、ツールはよりどりみどりです。目移りするかもしれません。エンドツーエンドのスタックから単独のサービス提供まで、データ統合、トランスフォーメーションからデータプラットフォーム、ガバナンス、分析まで分野もさまざまです。

どの選択肢も魅力的で、ベストな選択肢を見つけるのは難しそうです。スタックを体系的に構築できないと、システムやサービスがうまく連携できない、最善とは程遠い、使いにくい、といったような状態に陥ってしまう可能性があります。

では、どんな選択をするべきなのでしょうか?

最新のデータテクノロジーを掲げる企業は多いのですが、真に世界クラスのデータツールは、他とは一線を画す特徴をいくつか備えています。新しいテクノロジーをデータスタックに追加しようと考える際には、次のような点を確認してください。

トライアルや導入が簡単か?決定的なデータの10年への準備を迅速に整えるための支援をしてくれるか?

クラウドネイティブか?クラウドデータプラットフォームからのライブ接続性を、規模を広げて活用できるか?

データのサイロ化を打破しながら、今日のデータ量を扱うことが可能か?

オープンで自社の技術スタックに統合しやすいテクノロジーか?将来、自社のデータ戦略が進展したときにも、対応が簡単か?

ビルトインのユーザー体験レイヤーを持っているか?ビジネスユーザーを念頭に設計されたものか?

自社のスタックの価値を、社員一人ひとりが手にできるよう支援するものか?

自社のデータスタックに最適なツールを選ぶには少し時間を要するかもしれませんが、そのメリットについて考えてみてください。最新のクラウド分析能力が手に入れば、次のようなことが一挙に可能になります。

  • データの力を100%開放し、情報を行動に結びつくインサイトへと変えることができます。
  • 組織全体が、直感ではなく今のデータを使って、質問に自分で答えられるようになります。
  • データの取得元に関係なく、組織がデータを収集・統合・活用するプロセスを自動化できます。
  • 組織学習の好循環が生まれます。
  • データスタックを簡素化し、管理の必要性を減らし、データのクリーンさと関連性を確保できます。

より適切な回答を得る秘訣は、より適切な質問をすること、と昔からよく言われています。

しかし、旧来のBIツールの時代には、それは口で言うほどたやすいことではありませんでした。世界で最も適切な質問ができたとしても、アナリストチームが何週間もかかって古いデータに基づいて回答を出していたら、質問がいくら適切でも意味がありません。得られた回答は、タイムリーでもパーソナライズされたものでもありません。この時点で、すでに行動に結びつく回答ではなくなっています。また、最初の質問から2つ目の質問が生じたら、対応できません。

ダッシュボードと現代世界のスピード比較

残念ながら、まだ静的なダッシュボードを使っているのでしたら、データスタックをどれほどモダナイズしてもあまり意味がないかもしれません。決定的なデータの10年を勝ち抜く準備は到底できません。

少数のアナリストがオーバーワークでデータに対応しているのだとすれば、ビジネスユーザーが判断を導くのに必要とするインサイトを得ることもできません。恐らく「ダッシュボードの馬鹿げた無限ループ」とでも呼びたい状況に陥っていることでしょう。質問があるビジネスユーザーは、回答に必要な指標をアナリストが見つけてくれるのを待ちます。アナリストは、その指標を把握するのに必要な新しいモデルをデータエンジニアが構築してくれるのを待ちます。データエンジニアは、指標を提供するためのモデル構築に使えるデータをIT部門が承認してくれるのを待ちます。こうしてサイクル全体が何度も繰り返されていきます。

効率が悪いだけではありません。コストもかかります。

関与する社員の時間を合計した場合、インサイトのパーソナライズと新しいダッシュボードの作成のコストは1件あたり 18,000ドル と推定されます。

一方、世界ではセルフサービスが進んでいます。航空券は自分で予約しますし、レストランも自分で探します。動画は興味に合ったものをYouTubeで観ます。

消費者向けウェブでは、検索とAIがコアテクノロジーとなってこのようなサービスを可能にしています。したがって、ビジネスでも、社員や顧客に同じレベルのセルフサービスが利用できるようにする必要があります。

今日のデータリーダーは、ビジネス上の質問に回答するのに「ダッシュボードファクトリー」を運用するという古いモデルを廃し、誰もが検索とAIを使って自分でインサイトを創り出せるようにしています。

むしろ、それが唯一の道だからです。社員や顧客が自分で回答を見つけるようにしなければ、データと質問が多すぎて対応できないのです。

データに貪欲になる

Ansar Kassim博士

Verizon
ファイナンシャルアナリティクス部長

インサイトには力がありますが、それ自体が持つ価値は限定的です。ビジネスは、情報ではなく行動の上に成り立つものだからです。ダッシュボードを見てデータに基づく行動を取ることを社員に期待するのではなく、インサイトを運用ワークフローに取り入れ、よりスマートな行動を大規模に促進しましょう。

では、それが具体的にどういうことかというと、チームがすでに使っているツールに、分析能力を組み込んでしまうという話なのです。たとえば、モダンクラウドエコシステム向けに構築されたLive Analyticsを使うと、1つの場所で生まれたインサイトがワークフロー全体に、スムーズに流れていきます。

もし最も重要な顧客や解約しそうな顧客についてのインサイトがあるとすると、ダッシュボードで表示するだけでは足りません。インサイトが自動的にマーケティングキャンペーンや顧客サポートのワークフローに取り入れられるようにすれば、ビジネス上の価値が高まります。

あるいは、ThoughtSpot Syncのようなツールを使えば、Google SheetやSlackのような組み込み済みの転送先を使って、顧客のデータをビジネスアプリと同期させることもできます。たとえば、年間売り上げを評価する中で驚くような数字が見つかり、ハドルミーティングが必要になったとしましょう。ライブチャートから「Send to Slack」をクリックし、「my channel」を送信先に選び、投稿をパーソナライズして、チームと共有します。

これで一気に、ビジネスインサイトがチームにとって「他人事」ではなくなりました。必要な場所に必要なインサイトがあるので、より適切な意思決定や行動につながっていきます。これがデータの10年のデータドリブンの実像です。

新しいデータの10年を定義するのは、モダンデータスタックと全員ができるセルフサービスの分析です。この2つが組織を次のレベルのデータフルエンシー(流暢性)に導きます。

しかし、価値あるリソースを旧来のデータパイプラインやプロセスや運用の維持に浪費していては、データの10年で優位に立つことはできません。

企業はこの20年で、完璧なデータウェアハウスなどというものはないことを学びました。また、この10年で、未加工データを何でもかんでもデータレイクに放り込むことも、役に立たないと分かりました。

クラウドでデータアーキテクチャーやモデルを定義すれば、ビジネスニーズについて情報に基づく仮説を立てることはできます。しかし、悲しいことに、やがて多くの仮説は間違いだったと判明するでしょう。世界はスピードを上げて変化し続けていくからです。

必要なのは、反復と改善ができる十分に柔軟な構造とガバナンスを伴ったデータ基盤です。モダンデータエンジニアリングとプログラム可能なデータモデルがあれば、ソフトウェアエンジニアリングのベストプラクティス(拡張性、プログラム可能性、再利用性、バージョン管理、コラボレーション)に沿ったデータ基盤を構築できます。今日のニーズを満たしながら、ビジネスニーズの変化に迅速に対応できるのがこのアプローチです。

結局、データの利用法は企業やチームごとに独自のものです。そして、データ量は膨大であるため、古いプロセスやパイプラインでは破綻します。企業の存続には自動化が必須です。データ量が拡大したときに規模を拡大できる唯一のアプローチだからです。

こうした新しい環境で浮かび上がってくるのが、分析エンジニアという新しい役割とデータワークスペースの必要性です。

分析エンジニアの需要の高まり

分析エンジニアは、バージョン管理、テスト、継続的な統合といったソフトウェア開発の実践と学習を担い、また、それを分析に応用することが役割です。その役割に対する需要が高まるのに合わせて、分析エンジニアのスキルアップも必要です。SQLの強化やPythonなどの新しい言語の追加、dbtのような新しいツールの追加を通じて、分析エンジニアはチームにより多くの価値を届けます。

新しいデータワークスペース

データを使った働き方が根本的に変化するのにつれて、分析エンジニアやデータエンジニアがエンドユーザーの高まる期待に応えるためには、新しいデータワークスペースも必要になってきます。

今日のデータ基盤には、以下のような機能が求められます。

接続性 :Snowflake、Databricks、Starburst、GBQなどよく使うクラウドデータプラットフォームと直接接続できること

モデル化 :データをSQLやdbtでモデル化できること

運用化 :Reverse ETLを通じてインサイトを運用化し、HubSpot、Slack、Google Sheetsといったビジネスに必要なサードパーティー製アプリにデータをプッシュできること

構築 :はっきりとモデル化しなかった多数の事項については、ビジネスユーザーが新たな質問をできるようにデータモデルが構築できること

導入 :新しいユースケースやデータアプリを組織全体に迅速かつ容易に導入できること

分析エンジニアリングと
ビジネス成果の間のギャップを埋める

Margaret Francis氏

dbt Labs
最高プロダクト責任者

柔軟なデータ基盤とは、必要とするインサイトを可視化するための基盤、いうなれば出発点に過ぎません。

保有するデータは確かに企業の知的財産ですが、そこから最大の価値を引き出すためには、サードパーティーデータと組み合わせて自社のビジネスを見渡す360度の視点を構築する必要があります。必要なのは、下記それぞれのキーワードで何が起きているかに対するインサイトです。

  • 顧客
  • 製品
  • パートナーとサプライヤー
  • 競合他社
  • 事業展開している市場

そうすることで、盲点をなくし、より適切な決定を下すことができます。これは、紙の地図だけを使った運転と、最新の交通情報や事故多発地点の警告を伝えてくれるGoogleマップを使った運転との違いに似ています。サードパーティーデータは、他の車から得られるGPS信号のようなものです。

この10年、サードパーティーデータはますます豊富かつ使いやすいものになっています。差し迫るCookieのサポート終了、世界のサプライチェーンの不安定さ、高まる顧客の期待などを踏まえると、サイロの中のデータを分析しているだけでは効果は到底望めません。

サードパーティーデータの利用は決して新しい考え方ではありませんが、クラウドや、Snowflake、Databricksなどのデータマーケットプレイスのおかげで、かつてなく簡単かつ柔軟なものになっています。

信頼できるプロバイダーのサードパーティーデータは、既存の情報を増強するのに必要な、そして行動に結びつくきめ細やかなインサイトを提供してくれます。これがすべてクラウドで行われるので、新鮮なデータが得られます。不安定なFTPや昔ながらのCSVアップロードに対処する必要もありません。

データの10年の今こそ、構築しているすべてのビジネスアプリケーションを再考するときです。アプリケーションは、記録システムとしてのみ機能するだけでは不十分になっています。スマートな運用を可能にする「データドリブン」のアプリケーションが必要です。

現在は世界全体がデータで成り立っていると言っても過言ではありません。データが意味するのは、ビジネスを前進させるための、パーソナライズされた、行動に結びつくインサイトを作り出すためのチャンスです。

Fitbitを例に説明します。Fitbitは単に歩数を数え、心拍を記録するだけではありません。現在の健康状態を示しながら、体を動かしてよい睡眠をとり、健康を全体的に改善するために取るべき行動を提案してくれます。

これは、社員や顧客がビジネスアプリケーションに求めるものと同じではありませんか?迅速なインサイトを探す採用担当者のための人事アプリケーションを構築するときでも、サプライヤーの管理のために社内のサプライチェーンアプリケーションを構築するときでも、データを使うあらゆるアプリケーションに情報を提供できる時代です。

社員のエンゲージメント についてのインサイトを提供することで、 人事部による社員満足度の管理 や離職の管理を支援できます。

調達チームが利用している調達アプリケーションの中でアイテムやサプライヤーに対する 360度の視点 を提供することで、 調達チーム がサプライヤーとより優れたやり取りをできるようになります。

インサイトはBIダッシュボードに閉じ込めるべきではありません。あらゆる場所でシームレスに統合されるべきです。アプリケーション内データ検索、すなわち埋め込み分析は、ユーザーが何度も利用したくなるエンゲージメント体験を生み出すための新たな領域です。

対話型のデータ体験を生み出すための課題

30% Gartnerによると、分析の導入率は平均30%に過ぎません

53% プロダクトビルダーの53%が、分析UXに注目すべきだと考えています

ところが、独自の対話型の分析UXを構築するのは容易ではありません。Gartnerによると、分析の導入率は30%に過ぎません。詳細に調べるユーザーの場合、一連の質問をしなければ真のインサイトを引き出せないことはよくあるのですが、ほとんどの製品内分析のUXでは、これを支援できません。既定のダッシュボードに基づいているため、ユーザーは特定の範囲内のデータを検索することしかできません。だからこそプロダクトビルダーの53%が、分析UXに注目する必要があると考えているわけです。

現状は、素晴らしい製品体験や顧客体験とは、まさに正反対の状況です。ユーザーがビジネスアプリケーションを最大限に活用するためには、セルフサービスの柔軟なパーソナライズされた分析が必要なのです。

今日、消費者が利用できる新しいアプリケーションの数は飛躍的に増えています。ところが、競争が激しくなるなかでも、エンゲージメント率と定着率は低いままです。定着させる製品の力が弱いのです。ユーザーはログインしても、再度利用したいとは思わずにログアウトします。求めていた体験が得られていないからです。

データは新しいUX

プロダクトビルダーである皆さんなら、埋め込み分析がユーザーの再利用率を高めるエンゲージメント体験を生み出す新しい領域であることはご存知だと思います。

ThoughtSpot Everywhere では、検索とAIを活用した分析などモダンアナリティクスクラウド内で利用できるサービスはすべて、アプリケーションや製品・サービスに直接組み込むことが可能で、画期的な埋め込み分析のUXが生み出されます。

ですから、皆さんのチームは顧客が求めるものを提供しつつ、構築と管理にかかる時間を削減して、製品の市場投入を早めることができます。

ThoughtSpot Everywhereを活用した埋め込み分析のUXは、1つひとつがカスタマイズされており、ブランドや顧客固有の工程を反映した分析になります。

CHAPTER 3 

今こそ変化のときです

決定的なデータの10年がやってきました。パワーシフトが起きています。新しいルールは明確です。テクノロジーの用意はできています。

最後に残るのは、皆さんの準備のみです。

テクノロジーはこのような変化の実現に必要なものですが、あくまでコインの一面でしかありません。そして多くの場合、トランスフォーメーションを行き詰まらせるのはコインのもう一面、すなわち人、プロセス、文化です。

68% のデータチームが、利益につながるアイデアを実行するための時間が十分にないと回答

92% のデータワーカーが、本来の職務以外の運用業務に時間を取られていると回答

91% のエグゼクティブが、データドリブンの企業になるのを妨げる最大の要因は文化であると回答

文化とテクノロジーは、同じコインの表裏なのです。受け入れ難い現実ですが、閉塞状態のダッシュボード(さらにひどい場合は、アナリストが何週間もかけて作る静的なPowerPoint)に頼っている組織は、恐らくクラウド導入も遅れているでしょう。あるいは、モノリシックのデータウェアハウスに依存する不安定なETLプロセスを使っているかもしれません。この旧来のテクノロジーは、自己満足や不信、失敗に対する恐れなどの文化を反映しています。

では、最先端のデータリーダーなら、どんなやり方をするのでしょうか?

イノベーションを受け入れる

最先端のデータリーダーは、新しい働き方を重視します。データメッシュのような新しいパラダイムを取り入れ、自社のデータを超えて思考し、旧来のFTPではなく最新のデータ共有を使って外部データを活用します。「時は金なり」を意識し、インサイトを得る速度は成功の類義語であると考えています。

コラボレーションを推進する

先端のデータリーダーは、データプロジェクトはビジネス上の課題を解決してこそ意味があることも認識しています。各事業部門と協力して、あらゆる場所に分析の専門知識を組み込めるようにチームを構成します。特定分野の専門知識とローコード分析ツールとの組み合わせが、現状打破の鍵となります。アナリストは発注先ではなく、ビジネスパートナーとなるのです。

「私たち」と「その他」という考え方を否定する

データと分析の最先端にある組織はすべて、優越性と信頼性、リスクを取る必要性を重んじています。ITとビジネス、あるいはデータとビジネスを隔てる境界はありません。同じデータにアクセスできる1つのチームとして、企業のミッションに沿った成果を実現するためにインサイトを活用します。

経営責任者のデータ活用を推進する

このような組織の指揮を執るリーダーシップチームは、多くの場合、デジタルエコノミーが唯一のエコノミーであり、データが通貨であることを認識しています。データ・分析の最高責任者が主導している企業も多くあります。

最先端のデータリーダーは、データ王国への鍵を守ることが主な仕事だった第一世代のデータリーダーとは違います。むしろ攻める側にあり、どんな荒波にも果敢に立ち向かうリーダーです。プライバシーを守り、製品やサービスを刷新しながら、顧客体験のパーソナライズを追求し続けます。こうしたあらゆることが、ビジネスの推進につながっていくのです。

データリーダーの
新しい役割

JoAnn Stonier氏

Mastercard
最高データ責任者

CHAPTER 4 

ThoughtSpotならできること

こうした考え方を取り入れ、適切な変化をすべて実践するというのは難しい注文でしょう。急速に変化するテクノロジーを使いこなし、長く続いてきたプロセスを変え(あるいは破壊し)、企業文化を変える、さらには再建する必要があるからです。

データの10年に真正面から取り組むためには、一緒に困難を乗り越え、成功にコミットしてくれるテクノロジーパートナーが必要です。

ThoughtSpotはそのようなパートナーになれると信じています。決定的なデータの10年に向かう今日の組織が直面する現実、課題、失敗を、私たちは理解しています。私たちは、お客様の意見を反映した製品ロードマップを準備するとともに、コミュニティに参加してベストプラクティスを交換するための ThoughtSpotコミュニティ を提供しています。また、お客様が移行を迅速に行う必要があること、導入の際に時間を無駄にできないことも理解しています。

続いて、実際にどのような形で実現するのかについて説明します。

データチームには、真のビジネスバリューを創り出す時間が生まれます。

92% のデータワーカーが、本来の職務以外の運用業務に時間を取られていると回答

データチームの時間を、既定の静的な「データからダッシュボード」の維持に浪費する必要はありません。ThoughtSpotを導入することで、ビジネスユーザー自身がライブアナリティクスを使って各自に必要なインサイトを得られるようにできます。データのリモデリング、スキーマの再構築、事前集計、データの移動などが必要なくなるので、データチームは真のビジネスバリューを創り出すための時間を大幅に増やすことができます。

フロントラインワーカーは、必要なときに必要な情報にアクセスできるようになります。

ThoughtSpotのコンシューマーグレードのUXにより、技術知識のないビジネスユーザーでも、必要なときにセルフサービスで必要なインサイトが得られますさらに、Spot IQを使えば、膨大なデータ量をワンクリックで自動分析し、考えもしなかった付加的なインサイトを得ることができます。

分析エンジニアリングと
ビジネス成果の間のギャップを埋める

Keegan O’shea氏

Afterpay
行動科学グローバルディレクター

Nitish Mathew氏

Afterpay
データ上級部長
 

1つの完全なソースが構築され、インサイトのサイロ化や断片化が発生しません。

90% のデータアナリストが、過去12か月にツールやプロセスの断片化により複数のデータソースが信頼できなくなることがあったと回答

これは驚くべきことではありません。断片化したデータソースからはインサイトの断片化が生じます。その点、ThoughtSpotは、データがどこにホストされているかに関係なく、あらゆるクラウドデータに対しリアルタイムでクエリーを実行できます。集計もデータ移動も必要ありません。ThoughtSpotのクラウドネイティブのアーキテクチャーは、スピードとスケールを重視して構築されており、直接お客様のクラウドのデータウェアハウス上で稼動して、すべてのデータモデルとスキームをネイティブに継承します。

ユーザーを離さない魅力的な製品体験を実現するときがきました。

ThoughtSpot Everywhereを使えば、検索とAIを活用したライブアナリティクスを埋め込んでアプリケーションをパワーアップしたり、チャートや表をカスタマイズしたり、インサイトをアプリケーションや製品、サービスに直接活用したりできます。

ThoughtSpotにより、ビジネスがデータ革命の最先端に到達します。

データの10年に優位に立つお手伝いをさせてください。新しいデータドリブンエコノミーの設計者としてThoughtSpotが選ばれるのには理由があります。

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