データリーダーに必要な6つの属性

私たちは今、決定的なデータの10年に生きています。仕事、コミュニケーション、社会生活、購買のあり方を変革するテクノロジーを支えているのがデータです。 

この変革に加わろうとすれば、自分がデータリーダーになるか、データリーダーを迎え入れる必要があります。 

しかし、そのことの意味は何でしょうか。データに関する意識が高い一般的なエキスパートと、データリーダーはどのような点が異なるのでしょうか。また、データリーダーになるにはどうしたらよいのでしょうか。

そこで今回のブログでは、6人の著名なデータリーダーたちに、データーリーダーの属性についてお聞きしました。

1. データリーダーはコラボレーションを推奨する

Mastercard 最高データ責任者、JoAnn Stonier氏

MastercardのCDO(最高データ責任者)であるJoAnn Stonier氏にとって、データリーダーの役割とは、事業が実際の課題に対処できるようにすることです。「つまり、データリーダーは自分たちの事業を理解していないといけません。現状だけでなく、今後についても」と、Stonier氏は述べます。

先進的なデータリーダーたちは、各事業部門と協力して、あらゆる業務に分析を組み込むことができるようにチームを編成しています。特定分野の専門知識とローコード分析ツールを組み合わせることで、状況を一変させているのです。今やアナリストは、単なる仕事の依頼先ではなく、ビジネスパートナーになっています。 

注目すべき点として、Stonier氏は「先進的なデータリーダーを特徴づけるのは、組織のデータと、データを使用するユーザーとの関係に対する見方である」と述べています。同氏は次のように話します。 

「最終的に、データは個人に対して大きな影響を与えます。データについては、個人を中心とした設計方針が求められていることを理解しなければなりません。こうした方針を採用して、社員に影響を与えるのです。製品、ソリューション、サービスの影響の強さ(良い影響、悪い影響の両面で)を理解していれば、設計に関する意思決定を一貫して適切に行うことができます」 

こちらのデータの問題に対する人間中心型の設計方針の適用に関するページでは、Stonier氏の考えをさらに詳しく紹介しています。

2. データリーダーはイノベーションを支援する  

Snowflake 社会保険部門責任者(元The Hartford CDO)、Sully McConnell氏

このインタビュー時点では、Sully McConnell氏はThe HartfordのCDOでした。The Hartfordは200年の歴史を持つ、パーパスドリブンな保険会社です。McConnell氏は、イノベーションの支援について深い知識を有しています。同氏は次のように話します。

「この分野が変化するスピードには目を見張るものがあります。大きな変化に後れを取らないようにしながら、革新的な企業がこの分野でどのような取り組みを行っているのかを理解する必要があります」 

先進的なデータリーダーは、新しい働き方を重視しています。データメッシュのような新しいパラダイムを導入し、データの枠を超えて考え、従来のファイル転送プロトコル(FTP)ではなく、最新のデータ共有手段を使用して外部データを活用しなければなりません。「時は金なり」を意識し、インサイトを得るスピードは成功と同義であると考えています。  

McConnell氏は、データリーダーの役割はイノベーションによって組織の課題を解決する方法を特定し、変化のための包括的なプログラムを推進することであると考えています。これには、市場における購買スキル、最高水準のベンダーとの協力、既存の社員のスキル向上なども含まれるでしょう。 

多くのデータイノベーションの推進者と同様に、McConnell氏もこうした状況に応じて新たな役割に取り組んでいます。今後もSnowflakeでの同氏の新たなポジションに注目していきたいと思います。また、こちらのページで、データインフラストラクチャのイノベーションに関するMcConnell氏の考え方をさらに詳しく紹介しています。

3. データリーダーはデータを活用してストーリーを語る  

PwC データ&アナリティクス シニアディレクター、Scott Peck氏

PwCのデータ&アナリティクスマネージングディレクターのScott Peck氏が考えるデータリーダーの役割は、単なる報告からデータを活用したストーリーの作成への移行を行うことです。Peck氏は、チームのデータアナリスト全員に対して魅力的なストーリーを語る方法を教えています。 

「関係者全体に参加してもらい、『皆さんにストーリーを作成し、注目すべき点を伝える方法を学んでいただきたいと思っています』と伝えています。時には1つのグラフが20のグラフよりもインパクトを与えることがあるのです」 

Peck氏とチームにとって、これは静的なダッシュボードから脱却するということを意味します。データを活用した魅力的なビジネスストーリーを作成するには、行動に結びつくインサイトが必要ですが、ダッシュボードからはこのようなインサイトを入手できません。Peck氏はさらに次のように指摘します。「ビジネスの変化が非常に速いため、ダッシュボードを常に調整しなければなりません」 

Peck氏のような先進的なデータリーダーは、情報をただ渡すだけというようなことはしません。そうではなく、行動を促す最新のインサイトを入手するためのデータを組織の全員が確実に利用できるようにしています。単にデータを意識する企業から、データドリブンな企業へと移行できるように支援しているのです。  

 こちらのPwCにおけるデータを活用したストーリーの作成に関するページでは、Peck氏の考え方をさらに詳しく紹介しています。

4. データリーダーは「私たち vs その他」という考え方を排除する 

Unilever データおよびアナリティクスディレクター、Deeksha Singh氏
Johnson & Johnsonシニアエグゼクティブ(元Unileverデジタルファイナンストランスフォーメーションディレクター)、Vandana Khanna氏

データと分析の最先端を行く組織はすべて、優越性と信頼性、リスクを取る必要性を重んじています。こうした組織には、ITとビジネス、あるいはデータとビジネスを隔てる境界は存在しません。同じデータにアクセスできる1つのチームとして、企業のミッションに沿った成果を実現するためにインサイトを活用しています。このプロセスでDeeksha Singh氏とVandana Khanna氏が重視しているのは、データリテラシーへの注力です。Singh氏は次のように説明します。 

「データリテラシーの習得と、将来に対する認識の両方についての水準を高め、同時に社員がこの取り組みに参加できるようにしなければなりません。急に『明日から変わるんだ』と言って社員がたじろいでしまうようなことは避けなければなりません」 

そのためには、インスピレーションを与えるビジョンから変革が始まることをデータリーダーが理解している必要があります。ユーザーのデータリテラシーを強化し、Excelのシートや静的なレポートといった古い習慣に戻ってしまわないよう、利用できる技術についてユーザーを啓発する必要があります。データによってより優れた決定をより素早く導き出せることをチームが理解すれば、真のデータドリブンの文化を作り出すための協力を得られるでしょう。 

Khanna氏はJohnson & Johnsonに加わって変革を進めています。Khanna氏の新しい取り組みについては、今後も紹介したいと思います。なお、Singh氏とKhanna氏によるUnileverでどのようにデータの可能性を明らかにしたかについては、The Data Chiefのエピソードで視聴できます。

5. データリーダーは経営幹部のデータ活用を推進する  

Fitch Group 最高データ責任者、Heidi Lanford氏

今日のデータリーダーは、防御に回ってデータ王国への鍵を守っているようなことはしていません。むしろ攻める側にあり、どんな荒波にも果敢に立ち向かっているのです。このようなリーダーたちは、顧客の体験をパーソナライズすると同時に、プラバシーを守り、製品やサービスのイノベーションを実現しています。さらに、データ保護からデータの収益化への移行を進めています。こうしたあらゆることが、ビジネスの推進につながっていくのです。 

Fitch GroupのCDOであるLanford氏の役割は、戦略レベルでデータの重要性を伝えることです。Lanford氏は、データリーダーが他のビジネスリーダーと協力して、コンセンサスを形成するように促しています。また、データリーダーとしての自分の責任は、組織のデータニーズと技術的な要件を伝えることだと考えています。Lanford氏は次のように述べます。 

「データポリシーや新しいプラットフォームを実際に活用するために、そうしたニーズや要件にどのような意義があるのかを分かりやすい言葉で説明します。分かりやすく説明しないと、単なる技術用語と思われ、理解してもらえないのです」

他の経営幹部とCDOが効果的なパートナーシップを構築する方法に関するページで、Lanford氏の考察についてさらに詳しく紹介しています。

6. データリーダーは善行のためにデータを使用する

The Modern Milkman 最高戦略責任者、John Hughes氏

今日のデータリーダーは、ビジネスのより良い意思決定や市場の変化への迅速な対応だけにデータを活用しているのではなく、世界を変えようとしています。John Hughes氏は、まさにこのような革新的なデータリーダーです。Hughes氏が勤務しているThe Modern Milkmanは、英国に拠点を置く食品配送企業であり、英国におけるプラスチックの消費に変革を起こすことを目指しています。現地産の生鮮食品を、プラスチックを一切使用せずに顧客に提供することで、スーパーマーケットに代わる、環境に配慮した流通手段を提供しています。 

Hughes氏とチームは、当初の資金の4分の1近くを、最先端のデータ分析スタックに投資しました。この決断により、よりインテリジェントなマーケティングを行い、運営におけるギャップを予測し、環境に与える影響を数値化するために必要なデータを入手して、価格の影響を非常に受けやすく、物流が複雑な市場で競争力を高めることができたのです。 

具体的には、廃棄処分を免れたボトルの数など、一般的されたデータを顧客ごとにパーソナライズされたインサイトへ変換できるようになりました。有用で、利用しやすく、信頼できるデータがあったからこそ、顧客、企業、環境に配慮した取り組みとの間に、互いに共生できる関係を作り出すことができたのです。 

「私が最も誇りに思っていることは、おそらく商業的な取り組みとはまったく関係がありません。はるかに重要なのは、お客さまが持っている影響力を伝えることなのです」

データを活用した海洋の保護に関するページで、Hughes氏とチームの取り組みを詳しくご紹介します。

先進的なデータリーダーの一員になる

今日のデータリーダーは、新たな一歩を踏み出し、データを活用して、組織や社会全体に変化をもたらそうとしています。今日の変化の推進者は、門番のような役割を果たすのではなく、データドリブンな文化を構築するために経営幹部の賛同を確保しようとしています。 

そのためにデータリーダーたちは、情報を必要とする現場の従業員がその情報を利用できるようにし、データ主導型の戦略を推奨し、変化を実現するための適切な分析スタックを確保しているのです。そして、革新的な新しいテクノロジーを採用しながら、チームがデータを活用してストーリーを伝え、影響を生み出せるように支援しています。 

The Data Chiefポッドキャストでは、このブログでご紹介したような、インスピレーションに富むイノベーターたちのストーリーを視聴できます。