Roche、「大嵐」の中でセルフサービス分析を導入

昨年6月、私はロンドンで行われたThoughtSpotユーザーグループのセッションに参加し、ThoguthSpotがRocheのグローバル調達にどのようなインパクトを与えているかについて話をしました。具体的には、調達チームが社内の他の部署に対するダッシュボード工場にならずに済んでいる理由を説明しました。

Rocheは125年に渡り、何百万人もの人々の生活に変化をもたらしてきました。Rocheはスイス・バーゼルに本拠を置くグローバルヘルスケア企業です。全世界で10万人を超える社員を擁し、製薬事業と診断薬事業という2つの領域で事業展開しています。診断薬事業では、Rocheが製造するCOVID検査キットや検査機器は、業界でも特に信頼性が高いという評価を得ています。世界有数の規模のバイオテック企業となった今、グローバルの2事業を合わせた年間総売上高は630億スイスフランを超えています。

これほど大きく複雑な企業体は、必然的に経営も大規模となり、私の部署であるグローバル調達部だけで、5万5,000のサプライヤーを相手に61万件の発注を行い、支出は155億スイスフランにもなります。

Rocheにおけるグローバル調達部の役割

グローバル調達部はこれらすべてを適切に処理するだけでなく、経費節約に関する幅広い分析の実施も支援しています。WorkDay人事システムから、また、最近では、持続可能性の点で注目が高まっている出張手配アプリケーションなどです。特に、昨今の出張の急増については、Rocheの二酸化炭素削減や持続可能性の目標を踏まえて、綿密に管理していかなければなりません。

Rocheがセルフサービス分析ソリューションをどのように実施したか

およそ9か月前、部門全体に大規模な組織改編が行われ、その一環として、ビジネス分析の小さなチームが設置されました。このチームの目的は、カスタマーエクセレンス、デリバリー、インサイトとイネーブルメントの各調達チームを横断する形でステークホルダーを支援することです。顧客中心の姿勢を強化する根本的な変革であったため、体制の構築は容易ではありませんでした。ThoughtSpotは、この新しいチームを立ち上げるのに完璧なタイミングで、いわば「大嵐」の中で導入されたのです。

私たちに課せられた課題は、この新しい仕事の進め方のために最適なツールを見つけ、可能な限りコラボレーションを推進しオペレーションをスピードアップすることでした。また、セルフサービス分析をさらに推進したいという強い希望もありました。しかし、ご存知のように、このような場合に問題になりがちなのは、ビジネスユーザーに積極的にセルフサービスに取り組んでもらうことや、ツールやデータを把握し、どこでセルフサービスに活用できるかを理解してもらうことです。

ダッシュボード工場から生産性の高いインサイトとコラボレーションに移行するための3つのステップ:

カスタマイズの掘り下げ:ThoughtSpotはこの大嵐の中で、ある種、救命ボートのような役割を果たしました。なによりもまず、コラボレーションが大きく促進されました。当時、調達チームは、既存のアセットの小規模なカスタマイズをユーザーに提供するだけの「ダッシュボード工場」になりかけていたのですが、ThoughtSpotを使い始めてからは、同僚やチームと話し合って何が必要かを明らかにできるようになり、その話し合いから臨機応変にカスタマイズできることも多くなりました。これは、非常に大きなメリットです。

リアルタイムのトレーニング:私たちは、ThoughtSpotを、コラボレーションと話し合いを支援する一種の分析ジャムボードであるとも位置付けています。必要なインサイトの種類について誰かがアイデアを出すと、セッションの中でリアルタイムにそれを構築し、すぐに実行が可能です。このように社員自身が即座にThoughtSpotの価値を理解できたので、受け入れは順調でした。特に社員の評価が高かったのは、シームレスでLivegoard全体をフィルタリングし、同じLiveboardでさまざまなデータセットからインサイトを得られることです。

確認するのは1つのデータソース:生産性の面でのもう1つのメリットは、更新が1回で済むことです。データはすべて同じソースを元にしているので、更新すべきデータセットは1つだけです。以前は、たとえば、10種のダッシュボードで支出に関するデータセットを扱う場合もあり、個々のデータセットを手動で更新しなければなりませんでした。運用上、このようなやり方は困難で、投入するリソースも膨大でした。今では、データを抽出してExcelで分析しようなどという気はなかなか起きません。

セルフサービス分析で、ビジネス上のインパクトを迅速に実現

ThoughtSpotの検索とAIは、セルフサービスで分析できるユーザーを増やすという目的にピッタリです。導入から数か月で、すでに200人以上が日常的に使用しており、そのうち10~15人はパワーユーザーで、私たちのサポートを必要とせずに自分で構築を進めています。プラットフォームはユーザーが直感で理解できるものですし、質問はGoogleのように検索バーに入力するだけです。どう質問すればよいか分からない場合にもインサイトを提案してくれるなど、スマートでもあります。

調達チームにとっては、ダッシュボードのリクエストが大幅に減少したことが非常に意義が大きいと思います。一度に5人しか使わないダッシュボードを構築するために時間を割くわけにはいきません。ThoughtSpotの導入によって、開発者2人分の雇用が不要になったのは、明らかに収益に直結するメリットです。

今回Roche調達部が得た迅速な成果は、将来を期待させるものです。今後、セルフサービス分析の導入は社内でますます注目されるでしょう。実際、ThoughtSpotの「インパクト」は、他の部署にも急速に広がり始めています。また、私個人としても、新しい展開に乗り遅れないように、ThoughtSpotユーザーコミュニティに積極的に参加を続けるつもりです。新たな展開が、コラボレーションと生産性の点で大きな利益をもたらすと期待しているからです。