モダンデータスタックを構築するためのベストプラクティス10選

どの企業も財政の引き締めを図っていますが、データだけは例外です。 

モダンデータスタックに不況の兆しは見えず、SnowflakeのCEOであるFrank Slootmanは、年次ユーザーカンファレンスで、雇用計画に遅れが出ることはないだろうと述べています。CNBC技術委員会の幹部は、テクノロジーへの投資はコストセンターではなく、ビジネスの推進力であると指摘しました。さらに、Foundryのクラウドコンピューティング年間調査では、クラウドアナリティクスが最大の成長要因として挙げられています。 

デジタル経済がこのデータ分野の成長を後押ししています。一方、特にモダンデータスタックでは、俊敏性とTime to Value(価値実現までの時間)が技術者やビジネスリーダーを鼓舞する要素となっています。 

この記事では、モダンデータスタックをいち早く採用した企業によるベストプラクティス10選をご紹介します。

  1. 疑問に寄り添う

Sargentoは、ウィスコンシン州に本社を構える15億ドル規模の会社で、チーズや関連食品を製造・販売しています。細切りチーズ、スティックチーズ、スナックパックなど、他社に先駆けた革新的な商品を生み出しています。革新的な企業文化を築いてきたSargentoですが、同社のデータプラットフォームは、業務報告書やスプレッドシートに頼る分析からあまり進化していませんでした。データに対する需要は利用可能なリソースを上回っており、同社は洞察と意思決定を迅速化したいと考えていました。そこで同社は、データスタックの最新化を図るにあたり、会社の成長と業務効率化という観点から最新化までの過程を事業戦略全体と結び付けたのです。人材がSargentoの企業文化の中核であるため、データアナリストのみならずビジネスユーザーも新しいプラットフォームを導入できるようにすることを戦略の中核に据えました。    

SaaS型ブランドマネジメントプラットフォームを提供するFrontifyも、類似のアプローチを採用しています。同社は積極的な成長目標を掲げていますが、小編成のデータチームでは新たなデータの需要に追いつけませんでした。レガシーデータプラットフォームは、カスタムETLスクリプト、MySQL、Tableauダッシュボードに基づくものでした。新たなリクエストに応じるのに、1か月を要していたのです。

  1. 悪習を断ち切って変化を促進する

中央集権的なデータチームをより俊敏なワークプロセスに移行する必要があります。技術面でも、データの一部のみを読み込み、表で集計するという考え方はクラウド環境ではもはや必要ない可能性があります。Bayerのアナリティクス&インサイト部門の最高責任者であるManik Guptaは、「データ分析チームが準備に6~18か月も費やせる時代は終わりました。勢いを維持するには、全力疾走で2〜6週間のうちに新しいプログラムや新機能を考え出さねばならないのです」と述べています。

勤続年数の長い社員が多い会社で、数十年の経験に基づく直感的な意思決定のメンタリティを変えるには、信頼関係を築く必要があります。Sargentoでは、予想外の工場停止が発生することがありましたが、その原因を突き止めた瞬間、ある工場長にひらめきが生まれました。同社では「Cheese Block」というニュースレターで新しいインサイトを紹介しています。Sargentoは、「2019年のKrogerの売上は?」などの抜き打ちクイズを出して参加者がゲーム感覚で楽しめるようにしています。正解者には抽選で賞品(と自慢する権利)が贈られます。

シニアマネジャーのTravis Lehnが語る変革推進のベストプラクティス

  1. エコシステム全体から選り抜かれた最良プラットフォームの活用

Sargentoは、モダンデータスタックベンダーと他のフルスタックベンダー2社を競わせてコンテストを開催し、最終的にMatillion、Snowflake、ThoughtSpotの3社を選びました。モダンデータスタックにより、パフォーマンスやユーザーエクスペリエンスが向上し、価値実現までの時間を短縮できるようになりました。 

同様に、グローバルなB2Bテクノロジー企業であるCarTrawlerは、顧客がシームレスな旅行体験を予約できるように航空会社とレンタカー会社による提携サービスを提供していますが、急増するデータの扱いに追われています。CarTrawlerは、Airflow、Snowflake、ThoughtSpotを用いて自社のテクノロジースタックを最新化しました。  

データ統合とクラウドデータプラットフォームは、固有の要件に基づいて顧客ごとに異なります。たとえば、Frontifyは統合にFiveTranを活用しています。JustEat TakewayとCNA Insuranceでは、Google BigQueryに基づくデータプラットフォームを採用しています。Chick-fil-AはAmazon Redshiftを活用しています。  

これらの顧客にとって、ThoughtSpotはモダンデータスタックのエクスペリエンスレイヤーとなっています。

  1. アナリストとビジネスユーザーの連携

業務上の本質的な課題を把握するには、対象分野の専門知識が不可欠です。ThoughtSpotを導入するにあたり、CarTrawlerは業務上の適格な課題に焦点を当てられるようにビジネスアナリストとビジネスユーザーを連携させました。データが真に民主化されるにつれて、組織はますます連合組織モデルや分隊の概念を採用するようになっています。 

  1. 機能や特徴ではなく業務上の課題に焦点を当てる

Cartrawlerでは、新規ユーザーのために90分のトレーニングを提供しています。このトレーニングは、コンセプトに「ツールを学ぶ」のではなく「業務上の課題を持ち込む」ことを掲げています。そのため、トレーニングを修了すると、ビジネスユーザーは業務上の課題を解決できるようになります。 

Frontifyでも同様に、成功事例やコホート分析の方法などを紹介するコンテンツのポータルサイトを社内向けに用意しました。テクノロジーを学ぶことに重点を置くと、ビジネスデータの把握や業務上の課題への対応が二の次になってしまいます。 

  1. ユーザーにとってのメリットを把握する

CarTrawlerでは、どうすればビジネスユーザーやアナリストの業務を改善できるか、つまり「WIIFM」(自分にどんな便益があるか)に焦点を当てています。Schneider Electricでは、持続可能なエネルギーの提供という全社的なミッションに沿って「エネルギーの解放」をメッセージとして掲げてきました。モチベーションは、個人の役割や現在のデータとの関わり方によって変わってくるでしょう。

重要なのは、最新のテクノロジーはますます速いペースで変化し続けていることを認識することです。モダンデータスタックで新しいテクノロジーを使いこなすことは、専門家を自負するアナリストやデータエンジニアが従来のテクノロジーを手放すことを意味するのかもしれません。こういった製品に感情的なつながりを抱くケースも少なくないでしょう。このような感情の変遷を認め、新しい役割モデルやコミュニティを築き、変化がキャリアアップにどのように影響するかを伝えましょう。

  1. ハッカソンを開催する

ThoughtSpotでは、シェアードサービス(コア)チームがハッカソンを開催することで、ユースケースを特定し、スプレッドシートでの分析をThoughtSpotに置き換えることができました。たとえば、財務のユースケースに焦点を当てることで、CFOはトップラインの成長率、売上高、フリーキャッシュフローを詳しく追跡できます。経理担当者は、出張費の明細を確認でき、売掛金の経年劣化を軽減し、手動のスプレッドシート分析に終止符を打つことができました。

このハッカソンを通じて、従業員の定着、JIRAチケットの追跡、ダイバーシティ&インクルージョンのライブボードなど、多くの新しいアプリケーションが生まれました。

  1. 会議でライブデータを利用する

幹部会議でライブアナリティクスをサポートするには、証拠に基づく文化が必要です。また、ビジネスユーザーが実際にすぐデータを手に入れられるようなモダンデータスタックが必要です。  

ThoughtSpotでは、数秒で処理できるライブデータと一元化された最新データに基づいて、取締役会、営業会議、財務会議が運営されています。また、手動でアナリストが作成 すると4万円もかかるPowerPointの悪習を断ち切ることも必要です。Western Unionの財務部門でグローバル責任者を務めるVamsi G副社長は、最近のモダンアナリティクスイベントで、「ThoughtSpotに出会うまでは、毎週スライドやPowerPointを使って幹部会議を進めていました。今では、すべてをThoughtSpotで進めています」と語っています。

  1. レガシーテクノロジーを積極的に廃止する

新しいツールを導入するよりも古いツールを廃止する方が難しい場合が多いのです。CNA Insuranceは、Google BigQueryとThoughtSpotへの投資、およびレガシーデータプラットフォームを廃止する際の重要事項について説明しています。古いものを廃止しないと、データチームは技術的負債を抱え、複数のプラットフォームをサポートしなければならず、提供される価値よりも個人的な好みに関する議論に多くの時間をとられることになります。レガシープラットフォームが徐々に姿を消すのをただ待つ組織もあるでしょう。一方、The Data Chief Liveのエピソードでご紹介したように、より積極的に排除してから廃止に至るBank of New York MellonやBagel Brandsのような企業もあります。

American ExpressのCDOであるPascale Hutzは、レガシーテクノロジーの積極的廃止を奨励し、その機会を探す提案に報酬を与える制度を紹介しています。チームは、コストを削減し、イノベーションを実現するためのリソースを確保することで報酬を得ます。

  1. 成否の判断と成功の促進

モダンデータスタックを導入する企業の最終目標は、トップラインの収益増加であったり、営業効率の向上であったりします。それでも、その途中経過を反映する先行指標はいくつも存在します。これらの影響を測定し、継続的に推進することで、ステークホルダーがモダンデータスタックのビジネス価値に確実に関心を持ち続けるようになります。以下に、先行指標の例を挙げます。

  • BI導入率については、業界平均が25%であるのに対し、Frontifyは40%を誇り、Schneider Electricは78%を達成しました。 

  • 高度なリクエストにも30分で対応できるようになり、データチームは報告書の作成に追われる状況から抜け出し、より価値の高い仕事にシフトしています。  

  • 同様に、Afterpayでは、数か月または数年かかっていた新しいデータの配信時間が数分に短縮されました。モダンデータスタックにより、データチームとビジネスラインのより緊密な連携が可能になりました。

  • Rosheでは、データアナリストの募集を減らし、調達分析部門の人数を削減できました。

イノベーションを受け入れる

モダンデータスタックをいち早く採用したこれらの企業に共通しているのは、迅速な実験と行動志向です。データの今後を左右する決定的な10年が到来した今、これらの企業はイノベーションを受け入れ、データを活用することで企業をリードしているのです。 

このベストプラクティス10選を参考に、貴社でも実現できるはずです。その実験の一環として、さっそくThoughtSpotの無料トライアルをお試しください。検索とAIを活用して誰でもライブアナリティクスを作成でき、ダッシュボードのバックログから解放されることを実際に確かめることができます。クラウドデータプラットフォームにアクセスしたり、お手持ちのCSVファイルを読み込むことも可能です。