データアクセス、俊敏性、エクスペリエンス:Bayer社の最高分析/インサイト責任者、 Manik Gupta氏との一問一答

データはあらゆるところにあります。

実際のところ、専門家の中には、2025年までに私たちは200兆ギガバイト、つまり200ゼタバイトのデータを抱えることになるだろうと予測している人もいます。CDのコレクションをお持ちの方にわかりやすく説明すると、それは世界中にあるCDの2倍以上のデータ量に相当します。

そのようなすべての情報を企業はどう活用すればいいのでしょうか。ThoughtSpotが開催したThought.Leadersイベントで、データリーダーを対象として調査を行いました。その最新の調査によると、グローバル企業のうち、データウェアハウスをクラウドに移行した企業は3社に1社しかありませんでした。移行したグループの中でも、クラウドベースのBI/分析ツールを採用してデータをファクトドリブンのインサイトに変えている企業はさらにごくわずかです。ThoughtSpotは、これについてBeyond 2020イベントで深く掘り下げたいと考えました。

デジタルカンファレンスで、ThoughtSpotの最高データ戦略責任者Cindi HowsonがBayer社の最高分析/インサイト責任者であるManik Gupta氏とともに登壇し、Manik氏がBayerのクラウド変革をどのように進めているかを伺いました。また、同社のチームがビジネス課題を速やかに解決するうえで検索およびAI主導型分析がどのように役立っているか、Manik氏がデータと分析に関する投資の優先順位をどのように決めているかについても伺いました。以下をお読みいただき、2人の会話から知見を学び取ってください。

Cindi Howson:Manikさんの肩書きは単に分析だけでないところがすばらしいと思います。インサイトも含まれていますね。Bayerでのご自身の職務について教えてください。

Manik Gupta氏:私はBayerでセンターオブエクセレンスをいくつか運営しています。たとえば、ヒューマンインサイトと消費者エンゲージメントのセンターオブエクセレンス、当社のエンタープライズビジネスインテリジェンス組織、北米全土を担当する高度分析/データサイエンスチームなどです。 自分の職務は分析を活用してインサイトが得られるように監督することだと自負しているため、誇りを持ってこの肩書きを使用しています。データと分析だけではなく、その作業から導きだされる具体的なアクション、つまりインサイトと先見性も含まれます。最もインパクトを生み出すのはそれらなのです。

CH:Bayerのクラウド化への道のりを進めるうえで、Manikさんはどのような役 割を果たしてこられたのですか。パンデミックの影響にはどのようなものがありましたか。

MG:当社のクラウド化への道のりを理解するには、一歩下がって見るとよいと思います。多くの企業がM&Aで成長しているということを認識してください。M&Aをした場合によく陥るのが、かなり作り込まれたレガシーシステムがオンプレミスに幅広く存在するという状況です。そうしたシステムからやってくるデータの価値は、システムを保守するコストに見合わないほど低いものだとそのうち気付くでしょう。適切なプラットフォームと適切な目的があるかどうかを見極めなくてはなりません。

最近は、プラットフォーム、システム、テクノロジーについてデータおよび分析の分野におけるリーダー企業の戦略的な考え方が劇的に変化しています。さまざまなアプリケーションを管理することよりも、それらのアプリケーションから得られるデータを収益化することに意識が向けられるようになりました。企業のクラウド化への道のりの中で特に重要なことは、Bayerもそうでしたが、そのような俊敏な変革をどのように管理するかです。そこがクラウドの出番で、クラウドがとても重要な役割を果たしています。  

パンデミックに関しては、去年私は新型コロナウイルスのことを考えるのに多くの時間を費やし、データを活用してこの困難を乗り切る方法がないかたくさん考えました。特に私の印象に残っているのは、当社の動きの速さです。2~3年くらいで導入する予定だったデータ機能と分析機能を6か月で立ち上げました。そのスピードが定着していると思います。

CH:今お話しいただいたようなスピードアップは業界全体で一様に起こっています ね。クラウドがそれを可能にしたことは明らかですが、機会がとてもたくさんあ る中で、投資の優先順位をどのように決めていらっしゃいますか。

MG:こうすれば必ず成功できるという方法はありませんが、私の場合、優先順位について考えるときには3つの主な原則に立ち返っています。

  1. ビジネスニーズに基づいてデータ分析とテクノロジーのロードマップを進めるようにする。ロードマップが先に来るようではいけません。 これはとても重要な違いです。突き詰めると、データと分析のリーダーである私たちの仕事は、ビジネスとその課題について理解を深め、ビジネスのユースケースを作り出すことです。私は特定のビジネス課題に対して具体的なビジネス成果を得るための取り組みとしてユースケースを定義しています。それらのユースケースを解決するようにデータと分析のロードマップの方向性を決めることが鍵です。  

  2. 起業家の考え方を取り入れる。 個人経営の店舗でも、Fortune 500企業でも、分析プログラムには起業家のアプローチを採用する必要があります。つまり、起業家のように最初の「元手」を得てプロジェクトを始めたら、次はビジネスニーズに対処し、コンセプトを実証し、規模を大きくします。そしてその手順を繰り返します。特定の領域で成功すればするほど、多くのエネルギーとリソースを注ぎ込むことができます。プログラムが機能しなかった場合は投資を減らし、その分を他のことに投資します。

  3. 完璧であるより俊敏であることが勝る。先ほどお話ししたように、データおよび分析のチームが準備に6か月から18か月も費やせる時代は終わりました。2~6週間のスプリントを実施して新しいプログラムや新機能を考案し、勢いを維持しなければなりません。

これらの基本が皆さんを正しい方向に導いてくれるはずです。特に、1つ目の原則についてはいくら強調してもし過ぎることはありません。グループとビジネス成果を結び付けることがとても重要です。データと分析をコストセンターだと考える人もいますが、私はそのようには見ていません。プロフィットセンターとして見ています。ビジネスによってKPIは異なり、売上だったり収益だったりするでしょうが、それはそれほど重要ではありません。重要なのは、「これらを私の方で進めますね。自分の作業を追跡し、それがビジネス全体にどのような効果をもたらすのかお見せしますよ」と言えることです。

CH:重要なポイントですね。テクノロジーのためのテクノロジーではないということです。ThoughtSpotを選ぶ理由につながるのは何ですか。なぜ今なのでしょうか。

MG:私が最も重視しているのは、自分の置かれたコンテキストに関係する1%のデータにたどり着くことです。その場面で、ThoughtSpotの効果に満足しています。まだThoughtSpotを導入したばかりですが、クエリーベースのインターフェイスを備えた高度なBIツールなので気に入りました。また、当社のエンタープライズデータ管理アーキテクチャーにもとてもうまく収まっているのもすばらしいことです。何も設計し直さなくても、ThoughtSpotを開発して社内に取り入れることができました。GoogleとSharePointの違いという例えをご紹介します。両方ともナレッジを共有するためのシステムだという人もいるでしょうが、Googleはあらゆる場面で活用できます。誰もがスマートデバイスを持っていて、誰もが検索バーに質問を入力する方法を知っているからです。それは突き詰めると、データアクセス、俊敏性、エクスペリエンスに要約できます。それこそが私が実感している効果であり、私たちがThoughtSpotに興奮を覚えている理由です。

CH:2021年を見据えて、データ、分析、AI主導型インサイトに関してどのようなビジョンをお持ちですか。何を達成したいと考えていますか。

MG:聞かれるとみんなにこう答えているのですが、どんな問題も差し迫ると解決できます。必要なのは、リーダーシップ、集中、リソースです。私は、私たちの限界を決めるのは志の大きさだけだと信じています。BayerではさまざまなAIユースケースを導入し、「スピードアップ」し、規模を拡大しています。コンシューマーヘルスケア分野における当社の2021年以降の目標は、あらゆるタッチポイントでファクトベースの意思決定を行い、特にこれまで十分に医療を受けられなかった人々に向けて、治療をスピードアップさせることです。

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