「データの10年」の幕開け

ヘミングウェイの言葉を引用すれば、変化は最初ゆっくりと始まり、そして突然に現れます。 

これは、世界の情勢を見れば明らかです。2019年を思い出してください。パンデミックをきっかけとして、大規模な変化を導くテクノロジーによって私たちの生活が公私ともに大きく変わったことは、紛れもない事実です。しかし、こうした変化は、その偏在性にもかかわらず、クラウドやオートメーション化のような以前から注目されていたトレンドが積み重なった結果に過ぎないのです。

過去10年間は、実験的な技術から主流の技術へと、テクノロジーが複数のパラダイムシフト的な進化をたどりました。ギグエコノミー、デジタルコンテンツのストリーミング、場所を問わない働き方など、かつては不可能と思われていたことが、今では日常生活の一部となっています。 

しかし、これは始まりに過ぎません。 

Web3、量子コンピューティング、5Gなどのような新技術は、まったく新しい世界を築こうとしています。この10年で示されたように、変化は想定を上回るスピードで起こっています。変化が現れたとき、その変化を受け入れる組織にはチャンスが生まれますが、そうでない組織にはリスクが生まれます。

このような新時代の中心にあるのが、データです。

データの10年に突入

データの決定的な10年に突入したことは、周囲を見渡しても明らかです。 

処理されるデータは指数関数的に増加しています。1日に約250京バイトという記録を更新しているだけでなく、市場への影響も高まっています。近年、特に注目を浴びた合併・買収をいくつか見てみると、Microsoft社はLinkedIn社を260億ドルで買収し、Oracle社はCerner社を280億ドルで買収しています。このような買収の目的は、データの獲得にありました。実際、今日では、企業の保有データは企業そのものよりも2~3倍も価値がある場合があるのです。 

Snowflake社の記録的な新規公開株の評価額やDatabricks社の莫大な評価額については言うまでもありません。モダンデータスタック分野全体に及ぶ企業の投資と評価には、この熱気が反映されています。単に人気がある市場だからではないのです。 

新しいテクノロジーの出現とデータの飛躍的な増加、そしてそれに伴うお金の流れは、土台に過ぎません。データの10年を導くのは、テクノロジーやデータ自体ではなく、それらがもたらす力学の根本的な変化です。私たちの生活のあらゆる面に影響を与えるからです。

力学の変化

今日では、データドリブン型の力学の変化によってあらゆる分野が再定義されつつあります。あなたがそれを信じるかどうかは別として、すでにビジネスに影響を与え始めています。 

力学の変化:

  • 消費者の観点から見た変化:一部の企業のみが消費者データを管理していた過去10年間とは異なり、Cookieの時代が終わってブロックチェーン技術が台頭したような変化によって、消費者が再び個人データを管理できるようになります。個人向けにカスタマイズされたサービスが得られるのであれば、消費者はデータを進んで企業と共有するでしょう。 

  • 最前線のビジネスユーザーの観点から見た変化:会社の最前線で働く意思決定者は、組織の成功に向けて、今まで以上に重要な役割を担っています。また、会社の成功に貢献するために、意思決定者が機敏性、自立性、データアクセスを有することもこれまで以上に重要になっており、意思決定者はそれを実現するためのツールを知っています。最前線で働くビジネスユーザーは、特にテクノロジーに関して、かつて無いほど購買の意思決定を行うようになっています。 

  • 技術スタックの観点から見た変化:技術スタックに関して言えば、以前は、導入が簡単で用が足りさえすれば十分と考えられていました。しかし、データの10年に突入すると、この考えはことごとく覆されました。イノベーションに関するどのように小さなことでも重要です。つまり、最適なツールを使うことは選択ではなく、もはや必須条件なのです。 

  • 市場の観点から見た変化: かつて企業は、確立されたブランドによって混乱から身を守り、変化に適応する時間を確保していました。しかし、今は違います。機敏で柔軟性があり、顧客にサービスを全力で提供する企業は、その規模に関係なく、動きの鈍い競合他社の市場シェアを奪うことができますし、今後も奪っていくでしょう。 

 変化に合わせてすべきこと 

今こそチャンスです。力学の変化から逃れることはできませんし、変化によるビジネスへの影響からも逃れる方法はありません。適切な計画に従って今すぐ実行すれば、この変化に対応し、さらなる高みを目指すことができます。 

その計画は、データ戦略から始まります。データの10年において優位に立つための6つのルールを確認してください。貴社や貴社の顧客にとって役立つだけでなく、皆さんのキャリアにも貢献するはずです。