セルフレス・エクセレンスという企業文化を浸透させる上で学んだこと

ThoughtSpotの立ち上げから10周年を迎えました。これは大きな節目となる日ではありますが、私たちが成し遂げたのはわずか2%に過ぎないことを自覚しています。誰もがより事実に基づいて行動できるようにするという使命を達成するうえで、お客様、パートナー、そして私たちのチームについて、やるべきことはまだまだたくさんあるのです。 

私たちが本当に祝いたいのは、「セルフレス・エクセレンス(無私の卓越性)」を10年間追及してきたことです。この企業文化こそが、ThoughtSpotをThoughtSpotたらしめているものです。ThoughtSpotは当初から、誰もがデータにアクセスできるようにする製品とソリューションを作ることに常に取り組んできました。この10年間、ThoughtSpotにも浮き沈みは当然ありましたが、次の3つの事項が変わることはありませんでした。

  • 解決すべき問題:ThoughtSpotは、誰もが技術的スキルに関係なくデータにアクセスできるように取り組んでいます。

  • 目的:誰もがより事実に基づいて行動できるように取り組んでいます。 

  • 企業文化:「無私の卓越性」に集約されます。

企業文化の定義と浸透

ThoughtSpotの共同創設者としてよく質問されるのは、「無私の卓越性」という企業文化をどのように築いて浸透させていったのかという質問です。しかし、それについてお話する前に、企業文化とは正確には何なのか、そしてなぜそれが会社作りにとって重要なのかを理解していただく必要があります。企業文化というと、特にテクノロジー業界では、フレックスタイムやリモートワークといった制度や、オフィスでのゲームやレクリエーション施設といったものと混同されることがあります。しかし、それは企業文化ではありません。 

企業文化は、概念としては一見単純そうですが、実際は非常に複雑です。ThoughtSpotにとって、企業文化を最もシンプルな方法で定義すると、「誰も見ていない、何をすべきかも指示されていないときに、社員がどのように行動するか」という言葉でまとめることができます。この定義は、なぜ企業文化が成長にとって不可欠なのかについて、その本質を簡潔に言い表しています。企業文化が根付いていれば、あれもこれもと組み込んだプロセスを用意したり、管理に過度のコストがかかったりすることなく、組織を拡大しつつ足並みを揃えることができます。また、中核となる価値観に沿って、社員が自由に意思決定できれば、社内に摩擦や組織構造的な乱れを生じさせることなく、社員の能力を高めることができます。ある意味、企業文化とは、創設者によって作られ、他のすべてを実際に形作る産物と言えるでしょう。 

ThoughtSpotにとって出発点になったのは、誰でもデータを利用できるようにし、より事実に基づいて行動できるようにするという構想でした。これが非常に野心的な目標であることは理解していました。この目標を実現させるためには、一切の妥協なく卓越性を追求できるようにする必要がありました。  

しかし、卓越性が個人の功績の追求になり、成功がチーム内でのゼロサムゲームになることもあります。私たちは、誰もが自由に自分を表現し、ベストを尽くし、大成功を収めるチャンスのある会社を作りたいと考えていました。つまり、ゼロサムゲーム化とは正反対の土台を作る必要があったのです。ThoughtSpotが解決しようとしている問題がいかに大きなものであるかを考えれば、チームの全員がそれぞれどれだけ大きな目標を持っていても成功できるような企業文化を作ることは、可能であるだけでなく、絶対に必要なことでもあると私たちは自覚していました。 

企業文化の定義に着手したとき、企業文化にとってなくてはならない、次の3つの重要な特徴があることを確信していました。

  1. 嘘偽りのないものであり、人としての私たち自身のありのままの姿を反映していなければならないこと。 

  2. シンプルで覚えやすい言葉で表現できる必要があること。

  3. 唯一無二であること。

このようなことを念頭に置き、ThoughtSpotの企業文化の指針として「セルフレス・エクセレンス(無私の卓越性)」が作り上げられました。無私の卓越性は、個人の成功も考慮されていますが、チームの他のメンバーを犠牲にして成り立つものでは決してありません。むしろ、その逆です。ThoughtSpotのチームの質とその目指すものを考えると、私たち全員が無私の心で働くことができれば、結局のところ、それこそが「利己的」であるための最善の方法になるのです。チームが成功すれば、全員が成功することになるからです。本当の敵は、古いやり方です。競合他社の販売方法が該当します。私たちは、お客様の潜在的可能性の実現をサポートすることで、これまでになかった、この上なく素晴らしい価値を創造したいと考えています。それこそが、ThoughtSpotが競争を犠牲にして成功をつかむ方法なのです。 

会社が比較的小さかった頃は、なぜ、何を、どのようにということを伝えるのは簡単でした。チームの主な拠点は米国にあり、毎日顔を合わせ、誰もが他のメンバーを知っていました。しかし、人数と拠点地域が増えるにつれて、無私の卓越性をどのように実践するかを文章にまとめることが重要になりました。 

そこで私たちは、そのための次のシンプルな公式を考案しました。

無私の卓越性 =「チームファースト」+「最善を尽くす」+「謙虚であること」-「政治(駆け引き)」

チームファーストとは、Bill Russelの「私のエゴは、私自身のために、私のチームの成功を求める」という言葉で最もよく説明できます。私たちは全員が成功して初めて、それぞれ個人として成功するのです。これはゲーム理論的なものです。チームの全員がお互いの成功のために尽力することができれば、たとえ短期的には自分たちに不利になることをしているように見えても、最終的には、より大きな成功をそれぞれの個人が収めることにつながります。

謙虚であることとは、問題やミスを率先して認め、それを自分のものとして受け入れ、是正することです。他の人に文句を言っているだけではだめです。そのため、ThoughtSpotでは、心理的に安全な環境を作ることで、ミスを自分のものとして受け入れるのを躊躇せずに済むようにしています。

駆け引き禁止とは、文字通りの意味であり、チームの他のメンバーを犠牲にして成功しようとはしてはならないということです。ThoughtSpotでは、人材採用の際にこの点を評価し、透明性を保つことで、駆け引きの入り込む余地がほぼないようにしています。もし、社員間で駆け引きが行われているのを確認したら、それを是正するために必要なことは何でもします。ThoughtSpotでは、駆け引きを一切許容しない方針をとっています。

しかし、ThoughtSpotの企業文化を定義するだけでは不十分です。リーダーたちがこの企業文化を日々実践し、積極的に伝え、自ら体現し、この企業文化に沿った行動には報い、沿っていない行動は正すことで、私たち自身がこの企業文化を運用していく必要もあるのです。

無私の卓越性を日々追求する

私たち2人はとても幸運でした。ThoughtSpotで育みたい企業文化に貢献し、それを浸透させるのに力を貸してくれた、素晴らしいチームメンバーたちと共に働くことができたからです。ThoughtSpotの企業文化はこの10年間で自立したシステムに成長しましたが、そこに込められた価値観を社内に浸透させるために従ってきた、シンプルな手法とプロセスがいくつかあります。 

ThoughtSpotを立ち上げて間もない段階で社内にこのSlackチャンネルを作り、社員間ですぐにお互いを認識できるようにしました。大げさな出来事を待つよりも、無私の卓越性が発揮された小さな瞬間ごとに、あらゆるレベルでそれを賞賛できたのです。組織的なプロセスのコストは不要でした。また、四半期ごとに毎回、ThoughtSpotの企業文化を体現し、求められている以上の活躍を見せチームに貢献した「無私の卓越性」の推進者を表彰することで、無私の卓越性を一定期間にわたって常に発揮し、大きな影響を与えた社員に感謝の意を示しています。 

この業界はデータをめぐる決定的な10年に突入し、あらゆるものが急速に変化しています。その中にあっても、常に変わることのないものが、ThoughtSpotの無私の卓越性という企業文化です。私たちはThoughtSpotが、人々にとって、ベストを尽くし、困難な問題を解決し、そして何かを成し遂げるための場所であり続けたいと考えています。最初の10年は土台作りでしたが、ここからは、規模拡大のための大きなチャンスが広がっています。ThoughtSpotの企業文化は、長期的に見た成功に貢献するものなのです。なぜなら、永続的な価値を持つ大企業を築くには、チームの全員が長期的な視点に立って正しく行動する必要があるからです。

 

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