DatabricksとSnowflakeの比較:2023年の今、データ分析にはどちらが適しているのか

コンピューターシステムの導入以来、データストレージは常に必要とされるようになりました。現在、市場には多くのクラウドデータウェアハウスソリューションがあり、こうしたソリューションはAmazon、Google、Microsoftのような完全に統合化された事業者や、DatabricksやSnowflakeといったスタンドアロンのデータプラットフォーム事業者によって提供されています。この記事では、2つの代表的なスタンドアロンデータプラットフォームであるDatabricksとSnowflakeを実用的な側面から比較し、その結果について概説しています。ビジネス分析に最適なデータソリューションの選択にお役立てください。

DatabricksとSnowflakeの比較要素

DatabricksとSnowflakeの比較:アーキテクチャー

Databricksのデータクラウドプラットフォームには、ビッグデータの処理、機械学習、AIの用途向けの統合された分析ワークスペースが用意されています。このプラットフォームはApache Sparkを基盤としています。Apache Sparkは、膨大なデータの処理と分析用に設計された、オープンソースのResilient Distributed Datasets(RDD)フレームワークです。そのため、Databricksのユーザーは大規模なデータ処理と分析タスクを簡素化できます。

Snowflakeも、データの保存、管理、分析を目的とした、単一プラットフォームのフルマネージドクラウドソリューションです。Snowflakeは大規模並列処理(MPP)に対応しているため、データの高速なクエリーと分析が可能です。Snowflakeは、AIやML、データウェアハウジング、データレイク、Unistore、データエンジニアリング、データサイエンス、データアプリケーション開発など、さまざまなデータ用途に対応しています。さらに、リアルタイム環境または共有環境で安全にデータを共有し、使用できます。

結論:ビジネスに最適なアーキテクチャーを選択するには、解決しようとしているユースケースに注目し、検討中のアーキテクチャーがそのユースケースに効率的かつ必要な規模で対応できるか確認してください。 

DatabricksとSnowflakeの比較:データ構造

データ構造とは、クエリーのパフォーマンスを最適化し、分析を容易にして、効率的なデータ処理をサポートするためにデータを編成してウェアハウス内に保存する手段のことです。会社のデータをいつ、どのように再編成するのかは、ビジネスに最適なソリューションを選択するうえで重要な考慮事項です。

Databricksを使用すると、あらゆる種類のデータを元の形式(非構造化、半構造化、構造化など)のまま保存し、そのデータにアクセスできます。Snowflakeもあらゆる種類のデータに対応していますが、データはSnowflakeのネイティブ形式に変換されます。この分野では、どちらの企業も市場や顧客からのフィードバックに応じて変革と進化を続けています。その理由は以下のとおりです。

構造化データと非構造化データ

構造化データとは、事前に定義された形式で編成されたデータのことです。構造化データの利点には、データの整合性、クエリーのパフォーマンス、分析への対応、データガバナンスなどがあります。 

一方、非構造化データには、事前に定義された構造やスキーマはありません。非構造化データは、テキスト、画像、音声、動画、ソーシャルメディアコンテンツなどのデータ資産によく使用されます。非構造化データには柔軟性がありますが、管理が難しく、複雑なクエリーを作成する必要があります。また、分析時のクエリーパフォーマンスは悪くなります。

多くの企業では、データの保存にハイブリッドなアプローチを採用しています。収集するデータの種類によっては、非構造化データを保存したほうが良い場合があります。ただし、非構造化データが混在している場合に分析を行う場合は、クエリーのコストとパフォーマンスに注意が必要です。

結論:クラウドデータプロバイダーと、そのプロバイダーが取り扱っているデータ構造が、自社のビジネスデータと目標に合っているか確認することが重要です。

DatabricksとSnowflakeの比較:パフォーマンス

クラウドのデータウェアハウスやプラットフォームにおけるパフォーマンスとは、クラウドデータベースがクエリーの結果を処理し、提供する際のスピードと効率を指します。優れたパフォーマンスは、組織によるインサイトの創出、情報に基づく意思決定、生産的なデータ処理環境の維持に直接影響します。コストにも影響するため、パフォーマンスの要因をしっかりと把握しておくことが重要です。

前述のとおり、DatabricksはSparkフレームワークを活用するように設計されているため、膨大なデータの処理が高速化されます。Databricksでは、処理するデータ量を減らすために、パーティションでのデータプルーニングやParquetファイルのメタデータが利用されています。Databricksの処理スタイルでは不要なデータやメタデータが選択的に除外されるため、ストレージフットプリントの削減、クエリーパフォーマンスの向上、データ移行の支援に役立ちます。

Snowflakeの場合、データをきめ細かく分割して編成するマイクロパーティションというストレージアプローチが採用されているため、パーティションが大きい同等の製品に比べてスキャンするデータが少なくなり、時間と費用を節約できます。さらに、切り離されたストレージと処理システムにワークロードを分離できるので、リソースの競合がない状態で、各コンポーネントを単独で拡張できます。

結論:各ソリューションが構築されている仕組みを理解することで、そのパフォーマンスに関する重要なインサイトを得ることができます。検討中のクラウドデータプラットフォームが自社ビジネスの最も重要な領域で優れたパフォーマンスを発揮するか確認することをお勧めします。

DatabricksとSnowflakeの比較:セキュリティー

今日のほぼすべての企業にとってセキュリティーが最大の懸念事項であることは周知の事実です。セキュリティーは、医療や金融などの一部の業界でクラウドデータ環境への移行が遅れている要因にもなっています。しかし、最新のクラウドデータウェアハウスやプラットフォームは、こうした課題に正面から取り組んでいます。DatabrickとSnowflakesの対応について見てみましょう。

Databricksのセキュリティー対策には、保存時のデータ暗号化、ネットワークの分離、ユーザーおよびロールベースのアクセス制御などがあります。また、Identity and Access Management(IAM)システムとの組み込みの統合により、データガバナンスとリソースへのアクセスをより詳細に制御できるように設計されています。

当然、Snowflakeのセキュリティーアーキテクチャーも顧客データを最大限保護するように構築されています。そのための対策として、保存時と転送中のデータ暗号化の推進、ネットワーク分離の導入、ユーザーおよびロールベースのアクセス制御の適用などが行われています。さらに、Snowflakeにはデータマスキングやセキュアビューなどの機能もあり、機密データの保護において非常に重要な役割を果たしています。

結論:データセキュリティーは、データチーム、クラウドデータプロバイダー、BIソリューションにとって最重要な事項です。顧客データを安全かつ統制のとれた状態に維持するためのツールやポリシーが導入されていますが、必ず自社のセキュリティーについて詳しく確認した上で、これらをモダンデータスタックに組み込むことが賢明です。 

DatabricksとSnowflakeの比較:拡張性

ビジネスの規模やデータの量が拡大するにつれて、データクラウドがそれに伴って拡張できるように構築されていることがますます重要になります。もちろん、これは単にデータ容量を拡張できるということではありません。クラウドデータウェアハウスにおける拡張性は、増大するユーザー負荷と処理の需要にどの程度適切に対応できるかを決定する要素でもあります。 

データクラウドは通常、オンプレミスのデータウェアハウスよりも効率的に大規模な成長に対応できるように設計されています。DatabricksとSnowflakeの相違点をいくつか見ていきましょう。 

DatabricksとSnowflakeは、どちらも優れた拡張性を備えています。Databricksでは、ワークロードに応じたクラスターのオートスケーリングが可能です。また、柔軟にノードを選択でき、スケールアウトノードの数も柔軟に選択できます。Snowflakeでも、水平オートスケーリングによってピーク時間帯のクエリーの同時実行数の増加に対応できます。ただし、Snowflakeの拡張性を特徴付ける主な要素は、ストレージとコンピューティングが分離されたアーキテクチャーにあります。この設計により、ダウンタイムなしでクラスターのサイズを変更できます。 

結論:データの保存と拡張性に最適なクラウドオプションを選択する際には、自社のアーキテクチャーについて考えてみてください。データの保存方法、現在データが最も増加している部分、今後データの増加が予測される部分を確認しましょう。 

DatabricksとSnowflakeの比較:使いやすさ

クラウドデータソリューションを選択する際には、チームの現在のスキルセットを評価することが重要です。既存の従業員をトレーニングする必要があるのか、それとも新たに人員を採用する必要があるのかを自問します。どちらの場合も追加コストが発生し、導入を決定する際にはこのコストも考慮に入れる必要があります。 

スキルセットとは別に、ツール内での日々のアクションの完了がどの程度簡単なのかも評価する必要があります。以前使用していたツールよりも反復的なアクションが難しくなる場合、チームが費やす時間が増えるだけでなく、よりストレスがたまるシナリオも発生するようになります。DatabricksとSnowflakeに対する業界の意見を見てみましょう。

Databricksは高い技術を持つユーザーを対象にしたプロフェッショナルツールと見なされています。ユーザーインターフェイス(UI)は非常に複雑で、クラスターサイズの調整、構成の変更、設定の切り替えなどのタスクでは細かい入力が必要です。学習曲線は急こう配になります。 

Snowflakeについては、業界関係者の多くが市場で最もユーザーフレンドリーなウェアハウスの1つだと述べています。直感的に使用できるSQL中心のインターフェイスにより、設定や利用開始のプロセスが簡素化されています。さらに、使いやすさを向上させるための自動化機能が多数用意されています。

結論:ツールを日常的に使用することになるデータチームに相談してください。データチームが使い慣れたツールを確認し、無料トライアルを試してもらい、チームの業務が最も簡単になるツールを選択します。 

DatabricksとSnowflakeの比較:コスト

言うまでもなく、コストは常にSaaSを購入する際の重要な要因ですが、クラウドコンピューティングのコストは特に重要な考慮事項です。ツールの使用方法によっては、あるデータウェアハウスの料金体系のほうが他より適していることがあります。つまり、会社のコンピューティングニーズ次第です。 

DatabricksとSnowflakeを料金の面で比較すると、Databricksでは2つのサブコンポーネントに分割される興味深いコスト体系が採用されています。1つ目の要素は、コンピューティング処理がアクティブになっている時間に応じてクラウドサービスプロバイダーに直接支払います。2つ目の要素にはDatabricksが関係します。この料金はDBU(使用するコンピューティングリソース)の量に基づいて構成され、基本的には、コンピューティングクラスターが実行されている時間が基準になります。そのため、パフォーマンスが非常に重要になります。重要な点として、Databricksではこの従量課金モデルにより秒単位での課金となるため、初期費用が不要です。

Snowflakeの料金は、RedshiftやGoogle BigQueryなどの従来のクラウドデータウェアハウスの料金体系に沿っています。コストは、データ転送、データストレージ、コンピューティングリソースの使用コストを合計したものです。このモデルは、規模やデータ処理のニーズがさまざまな組織に柔軟性と拡張性を提供するように設計されています。 

結論:DatabricksとSnowflakeの両方についてデモを実施したり、1対1での相談の機会を設けたりすることをお勧めします。これにより、組織のデータ量、使用量、個々のユースケースに応じて予測されるコストのタイプを把握できます。最適な料金体系はさまざまな要素によって異なるため、デモや相談を活用してください。

さらに詳しく:How to optimize your cloud data costs(クラウドデータのコストを最適化する方法)

DatabricksとSnowflakeの比較:ユースケース

コストよりもさらに重要なのはユースケースの分析でしょう。この分析によって、どのような企業が、その基幹業務を最も適切に遂行するためにどのようなデータストレージソリューションを使用しているのかを把握できます。 

DatabricksはSparkベースの成熟したプラットフォームであるため、ストリーミングデータの処理、機械学習、データサイエンスを基盤とした分析のユースケースで信頼を確立しています。未加工の生データを処理できるため、画像、テキスト、さらにはソーシャルメディアデータのような標準化されていないファイルタイプに適しています。 

Snowflakeも、新しいSnowparkとSnowflakeのMLパッケージの導入により、機械学習やデータサイエンスに使用されています。しかし、Snowflakeについて最もよく知られているのは、使いやすいSQLエディターです。この機能により、Snowflakeはデータトランスフォーメーション、分析、レポート作成の卓越したツールとして使用されています。 

結論:ツールに投資する前に、自社のデータ戦略との整合性について確認してください。会社ではどのようにデータを使用する予定でしょうか。MLやAIが製品の重要な要素である場合、必ず両方のツールをテストして、自社のデータチームにどちらが最適か判断してください。

SnowflakeとDatabricksの比較:ビジネスインテリジェンス

SnowflakeとDatabricksはどちらもThoughtSpotの戦略的なパートナーです。ThoughtSpotはどちらのソリューションもクラウドデータエコシステムに不可欠な要素だと考えており、お客様も各ソリューションのテクノロジー、サポート、もたらされる成果に十分満足しています。 

たとえば、Wellthyでは、ThoughtSpotとSnowflakeを組み合わせたことで、データチームのアウトプットの速度が2倍になりました。Wellthyのデータサイエンスおよび分析の責任者であるKelly Burdine氏は、この成果がビジネスにもたらす価値について次のように述べています。

また、Fabuwoodでは、DatabricksおよびThoughtSpotと連携したことで、手動で作成していた50超の報告書を廃止できました。今では、営業チームは新しいPower BIレポートを作成するために1ヶ月待つことなく、ライブの営業データにアクセスすることができます。FabuwoodのテクノロジーディレクターであるDavid Samet氏は次のように述べています。

最終的に最も重要なのは、お客様がデータに対する投資を最大限に活用できるように支援することです。ThoughtSpotは、共同イノベーションとコラボレーションを通じてこれを実現しています。DatabricksおよびSnowflakeとのパートナーシップに関する詳細をご確認ください。または、1対1のデモにお申込みください。ビジネスに適したモダンデータスタックの構築をThoughtSpotがどのように支援するのかご説明します。