日本企業にとって現場の最前線へのエンパワーメントが必須であることがハーバードの新たな調査で示される

今日のビジネスにおいて企業が成功するためには、データをより効果的に活用する必要があります。このような文句は、過去20年間にわたり繰り返し言われてきましたが、それは正当な理由があるからです。

どんな業界や業種、地域においても、企業はデータを活用して収益を伸ばし、コストを下げ、新製品やサービスを提供し、よりよい顧客体験を届けるなどの課題を抱えています。

しかし、データの恩恵を本当の意味で得られていない組織が多いのはどうしてなのでしょうか?ThoughtSpotは、Harvard Business Review Analytics Servicesと提携して新たな調査を実施し、データから有益なビジネス価値を得る上でフロントラインワーカー(現場の最前線で働く従業員)が果たす重要な役割について掘り下げました。その結果、フロントラインワーカーのデータドリブンな意思決定を可能にすることと成功の間に明らかなつながりがあると、調査対象組織の90%近くが回答したことが判明しました。ここで問題が発生する主な原因は、「フロントラインワーカーがインサイトを得るためのツールが整備されていない」「インサイトを応用するための知識を与えていない」「インサイトを活用できる組織文化や組織構造がない」ことでした。

これは特に、日本市場や日本のビジネスに当てはまります。日本企業の多くは、業種にかかわらず生産性の危機に直面しています。実際、2018年における日本の労働市場の生産性は、G7加盟国の中で最下位でした。人口の減少と高齢化という問題を抱える日本において企業が生産性を上げ、今後も成功するためには、新たな手段を取ることが不可欠です。そのためには、生産性を徐々にではなく、劇的に高める抜本的な新しいアプローチが必要です。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査で示されるように、フロントラインワーカーがデータドリブンな意思決定を自律的に、現場で下せるようにすれば、このような結果をもたらすことが可能になります。この変革をリードする組織のおよそ半数は、従業員へのエンパワーメントを行うことで、顧客満足度、従業員のエンゲージメントと生産性、製品やサービスの質の大幅な向上を期待しています。

このような成果を挙げるのは簡単ではなく、組織構造、技術的負債、企業文化にまつわる大きな障害を克服しなければならないことが調査で示されています。中でも企業文化は、国内外の企業にとって最大の課題です。従業員がデータドリブンなインサイトを得られるように新しいテクノロジーに投資しても、それはほんの手始めにすぎません。これと並行して、企業は文化の変革を進め、従業員がデータドリブンなインサイトを掘り起こせるだけでなく、インサイトを活用して最前線で意思決定を行えるようにすべきです。

企業文化の転換で実際に効果を出せた事例があります。例えばAIG損害保険株式会社は、最新テクノロジーとデータドリブンの仕組み作りで、目に見える結果を既に出しています。AIG損害保険株式会社の成功の鍵は、データに深い情熱を傾ける人材(データーインフルエンサー)を活用し、組織全体の推進者としての役割を担わせていることです。そのデーターインフルエンサーは、分析グループと連携して、最前線に立って働き、同僚を触発して企業文化を形成しています。

組織変革を目指すリーダーや所属企業の成功に貢献したいフロントラインワーカーには、ハーバード・ビジネス・レビューの調査レポートを読むことをお勧めします。企業文化を根本から変えるには、企業、従業員、テクノロジープロバイダーが協力して取り組むことが必要ですが、一体となれば必ず成し遂げられます。