アナリティクスの旅において、どのくらい大胆不敵ですか?

あなたは自分のことをリスクを取るタイプだと思いますか? リスクを恐れませんか? デジタル変革に向かう旅で、飛行機から飛び降りるということまでしようと思いますか?

私もそういうタイプではありません。

しかし、もしあなたが最高データ責任者(Chief Data Officer、CDO)なら、あなたは開拓者です。分析の力で業績を向上させることができる、デジタル化した世界ならなおさらだという信念を持って、恐れ知らずで取り組んでいることでしょう。データはこれまでも常に重要な存在でしたが、デジタル化した世界ではその価値は計り知れないほど大きいものとなります。データにより、カスタマーエクスペリエンスのパーソナライズ、サプライチェーンの最適化、業務効率の向上を実現する新たな方法がもたらされます。

CDOという役割は、この業界ではまだ比較的新しいもので、30年近い歴史を持つビジネスインテリジェンスとデータウェアハウスの市場において、最近のわずか5年間で発展してきたものです。この役割を担う人の多くは、まだ就任して2年経っていません。あなたもIT組織でBIディレクターなどの経験を積んで、CDOに就任したかもしれません。デジタル変革への取り組みの中でデータの役割を認識し、業務部門からCDOポジションに就いた人もいます。

私がGartnerからThoughtSpotに入社したのは、まるで飛行機から飛び降りるようなものでした。パラシュートがあるのかどうかも知らないまま、あったとしても使い方がわかる確信もないまま飛び降りたのです。私の新しい上司はこの例えに賛同していません。そんな冒険はスリルを追い求めた行動だと見ているからです。私もあなたと同様に、データと分析がビジネスの成功につながるというビジョンを持っています。私もあなたと同様に、新しい役割を持ち、その職務内容はこれからの取り組みの中で具体化していきますが、これはまるで体験スカイダイビングのインストラクターのようなものです。

ルールに反逆するか、従うか。

私はスリルを追い求めるタイプではありません。ありがたいことに、もう十分といっていいほどワクワクする人生を送ることができています。実はリスクを避けるタイプなのです。Myers-Briggsの性格診断や履歴書からわかるように、IT組織のほとんどの人はリスク回避タイプです。一方、業務部門の人は、リスクに見合うだけの機会と利益を見込めるのであれば、リスクを取る意欲があります。ハーバード大学の教授で著述家のFrancesa Gino氏が、このような人たちのことを才能ある反逆者であると述べているのは、適切な表現だと思います。人を困らせるためや反抗的な性格のためにルールを破るのではなく、仕事に対する情熱の結果として破るのです。多くの場合は、考えに基づいて、また別の観点から世界を見る必要性があることから、このような反逆が生まれます。

私は常日頃から、自分はルールに従うタイプだと思っています。私の娘も同じなのですが、先日、飛行機から飛び降りました。文字どおりです。私に断りもなく。殺してやろうかと思いました。もしくは、外出禁止です。でも娘は大学生ですでに成人しているので、それは無理な話です。海洋科学者である娘は、ナミビアでインターン実習をしているときに、別の観点から海を見るという一生に一度の体験をしました。まさに自由落下していた最初の数秒間は、一緒に飛んだインストラクターに絶大な信頼を寄せてしがみついていたそうです。

CDOやこれからCDOになる人は、紛れもなく、これと同じことをしているのです。あなたは組織内で、リスク、信頼、そして変化を伴う新しい道を切り開いています。自由落下しているように感じる日がいつか来て、既存のテクノロジーのことだけを考えたり、データの番人として行動すればよい安全地帯に戻りたいと思うことでしょう。けれどもそのような考えは捨てましょう。テクノロジーを組み合わせて文化の変化に対処しなければ、素晴らしい変革にはたどり着けません。文化とはパラシュートのようなものです。デジタル変革の取り組みでは、文化を進化させて受け入れることができなければ、散々な結果になるのです。

データドリブンの文化を育てる際の5つの重大な過ち

私は毎年数え切れないほどの組織と話をしていますが、文化はデータドリブンになることを防ぐ最も難しい障害です。組織は第1世代のデータウェアハウスとBIツールに大金を投資してきました。多くの組織は、データ戦略と分析ツールのポートフォリオを最新化してデータレイクやセルフサービスツールを取り込む変革の途上にあります。

こうした取り組みが、ビジネスの推進要因とほとんど整合性がなく、テクノロジーを追及して混乱をもたらすものであると見ている人が業務部門に多いことは残念です。変革リーダーがデジタル変革の力強いビジョンを描いていても、文化をそのビジョンに適応させることができなければ、取り組みが弱体化して測定可能な価値を引き出せません。

では企業の変革を妨げる文化的な障害とは一体何でしょうか。最も大きな文化的な障害には、次のものがあります。

  • 恐れ:失敗への恐れとリスクを避ける考え方は、インセンティブとも関係ありますが、同じくらい性格とも関係があります。ITの価値がこれまで、そしていまだに、最小提供コストに基づいて測定されているのであれば、どうやってIT組織を前に進めることができるのでしょうか。成功を測定するプロセスに、失敗への報奨が含まれていることはめったりにありませんが、革新を目指すには失敗に報いる必要があります。変革のリーダーは、社員が計算したうえでリスクを取ることを認める必要があります。

  • 不信感:業務部門のステークホルダーは、IT組織や窮地に陥っているBICC(Business Intelligence Competency Center)から意味あるデータがなかなか得られず長く待たされて失望しています。その結果、自分たちの思うとおりに突き進みたいと考えています。これまで業務部門とIT組織のパートナーシップに期待してきても、満足する結果は得られませんでした。変革のプロセスにおいてIT組織が業務部門を導いてくれるとどうして信じられるというのでしょうか。さらに、データを共有したりアクセスしやすくしたりすると、データが業務の改善ではなく処罰に使われるのではないかと恐れる人もいます。BICCの専門家は、セルフサービス分析に進化させるという取り組みを、自分たちを排除する手段だとして信用していない可能性があります。従来のレポート作成者を再教育してスキルアップさせ、データのストーリーテラーとして育成する取り組みを、信頼を醸成するための変革管理プロセスの一環に組み込む必要があります。

  • 個人のプライド:システムの設計と構築を行っている間は、自分が所有者であるというプライドは重要な資質ですが、そうしたシステムの運用を停止する必要があるときに、個人より組織を優先する文化がありますか。個人のプライドに関するこうした難しさが原因で、BICCやIT組織がいわゆる「シャドウIT」グループの価値を認識できないことがよくあります。データと分析をもっと俊敏な方法で活用できる新しい方法を、業務部門が示せる場合があるかもしれません。アイデアがどこから出されたかに関係なく、最適なアイデアを借りて模範としましょう。

  • 現状を優先する:人が日常的なニーズを満たそうとするだけの場合は、変化は難しく、ストレスとして感じられます。分析業界における猛烈な変化のペースは、ほとんどの組織が効果的に和らげなくてはいけない課題です。しかし、ビジネスのペースでは俊敏性をさらに向上させることが求められています。顧客はクリックやスワイプを1回する間にも離れていってしまいます。変化を受け入れる文化を育むうえで、まず「自分にとってどういうメリットがあるのか」を考えることから始める必要があります。1人1人にとってどのような改善ができるのかという観点で説明せずに、ただテクノロジーを投入しているのであれば、社員は変化に抵抗するでしょう。データドリブンに変革することが1人1人にとってどういうメリットがあるのかを見極めるだけでなく、変革をワクワクする機会だと考えるやる気のある社員を採用して報奨を与えてください。

  • 直感:直感の文化を障害として挙げる必要があるのでしょうか。確かに、データがない状態で議論しようとすることは、私には違和感があります。夕食の席で気候変動について議論するときにも、私はデータを求めます。男女間の賃金格差はどうでしょう。データを見せてください。NFLのドラフトの選択についても、統計の数字について尋ねます。私も感情を持ち直感に頼りますが、データが私の議論の根拠となります。しかし、マネーボールなどの映画やこちらのNFLの記事を見ると、直感のほうが正しい判断につながると考える人もいることがわかります。ほとんどの企業が顧客1人1人を個人的に知っていた時代はそうだったのでしょう。けれどもデジタル化された世界ではそうではありません。この点に関しては、直感とデータを組み合わせた場合にのみ、正しい判断ができるといえるでしょう。

位置について、よーい、ジャンプ!

文化の変革は難しく、ゆっくりとしか進まないものです。このような課題に対処するためには、まずあなたが恐れを知らない変革のリーダーになることから始めましょう。リスクを取るのです。現状に対する反逆者となりましょう。

口先だけでなく実行するにはどうすればよいでしょうか。その始め方を紹介します。

  1. 基準を定める:現在の文化を評価し、最も大きな障害を特定します。

  2. インセンティブを変える:変革を損なっているインセンティブを調べます。社員をコストの観点だけで評価していませんか。リスクに報奨を与えていますか。新しいスキルを習得するための時間を割り当てていますか。

  3. つながる:役員室から指示を出していますか、それともカフェテリアであらゆるレベルの社員とコミュニケーションをとり、懸念を積極的に聞き取っていますか。

  4. 人材を固定しない:文化を変革することが、社員を変えることを意味する場合があります。組織の新規部門に変革の推進者を入れたり、新しい人材を雇用したりするなどです。最適な人材はあなたの直属の部下ではないかもしれませんが、組織のあちこちに分散したあなたの支持者になってくれて、将来に向けたあなたの考えを広めてくれます。

  5. ネットワークを作る:業界経験の長いある人が、CDOの役割はこれからの数年間、つらく苦しい戦いになるだろうと言いました。そうかもしれません。でも私は、仕事を愛していて生き返った気持ちになっているCDOと分析のリーダーをたくさん知っています。社内の権力争いや組織の無気力感でやる気をなくしかけていたら、ネットワークを作りましょう。他のリーダーと情報交換して、負担を分かち合い、成功の秘訣を共有します。

私もその旅に加わります。