飲食店のデータ活用: OpenTable社データ分析部門 シニアバイスプレジデント、 Grant Parsamyan氏とのQ&A

20年以上に渡り、OpenTableは、食通からそうでない方まで、あらゆる人々をそれぞれが好む飲食店と結び付けてきました。そのバックエンドでテクノロジーはどのような役割を果たしているのでしょうか。簡単に表現するなら、それはデータです。

OpenTableは飲食店に対して、アプリとウェブサイトだけではなく、フロアプラン、電話予約、飛び込み客、シフトのスケジュール、回転時間などを管理するソフトウェアを提供しています。飲食店が効率を高めるのに役立つこれらすべての重要な指標を提供すると同時に、市内やライバル店のベンチマークデータも提供します。 

最近、ThoughtSpot社のCindi Howsonは、OpenTable社データ分析部門シニアバイスプレジデント、Grant Parsamyan氏とのQ&Aの機会を得ました。二人は、OpenTableのオンプレミスのデータセンターからクラウドへの移行、OpenTableが飲食店のオーナーにいかにして正しい指標を提供するか、およびデータがいかにホスピタリティと利益性の向上に役立つかについて話しました。以下のセクションをお読みください。

Cindi Howson:成功指標を設定し、OpenTableの価値を証明した経緯についてお聞かせください。

Grant Parsamyan:私たちは、OpenTableが飲食店の数値にどのような影響をもたらすか、つまりビジネスの増分を測定しようとしました。この影響とはつまり、人々がOpenTableのレコメンデーションエンジンを通じ、他のネットワークでは見つけなかったであろう飲食店を見つけたということです。私たちは、OpenTableでなければ獲得できなかったであろう予約を飲食店に提示しました。さらに、電話を受けるスタッフが必要ないために得られる効率化や、たったの2クリックで予約できるという利便性もあります。ROIにはそれほど重点をおいていませんが、OpenTableが長年にわたってそれらの飲食店にもたらした増分を示すさまざまなダッシュボードやレポートがあります。

たとえば、OpenTableから1000件の予約を得たとしましょう。検索を開始したとき、それらのユーザーのうち何人が飲食店をまだ決めていなかったでしょうか。ユーザーは飲食店を閲覧し、OpenTableによるレコメンデーション内容を見ました。OpenTableが飲食店をユーザーにマッチングさせたのです。それらの予約のうち、30%がまだ飲食店を決めていなかったユーザーによるものです。これが、増分ビジネスです。

Cindi:テクノロジーのトレンドについて言うと、最も興味深いのは何でしょうか。

Grant:それは、ビューの開発よりも、エンドユーザーが独自のビューを作成するために必要なツールを提供することですね。BI領域では、事前定義されたビューは今後数年で時代遅れになると思います。ユーザーが必要なものを自分で構築できる材料とプラットフォームを提供すれば、ツールはより洗練されたものになります。ビジネスについて質問のある人が回答を得るまでの時間が短いほど、ビジネスにとって有益です。 

スケーラビリティについて言えば、より柔軟な処理をユーザーにもたらすデータベース技術が改革をもたらしてきたと思います。以前は、データストレージと処理能力を同じペースでさせなければならず、深いデータを持っていて処理能力を買い足し続けなければならない人にとっては、足かせとなっていました。この2つを切り離すことができる新しいベンダーにより、ユーザーや企業はコストをかけずにパフォーマンスを向上させることができるようになっと思います。

Cindi:まずユーザーのスキルアップをしないと、セルフサービスの分析などできないという人もいます。また、誰かに読み方を教えるようなものだという人もいます。これについて、どうお考えですか。

Grant:その2つの中間ですね。OpenTableの営業やアカウント管理チームに新しいスタッフが参加すると、彼らはデータの読み方を学ぶためにデータトレーニングプログラムに参加します。データリテラシーは、文字を読むようなものです。文字を読むことができなければ、本をもらっても役に立ちません。ユーザーに何を学んでほしいかに焦点を当て、そこから出発する必要があります。 

つまるところ、誰もがうまく仕事をしたいと思っています。時に人々は、ツールに注ぎ込む努力の成果が得られないように感じることがあります。データの使用方法を示すのは、トレーナーの仕事です。データリテラシーはプロジェクトではありません。プログラムです。継続的に行う必要があるのです。

Cindi:歴史的に見て、データサイエンス業界は、テクノロジーばかりに時間をかけ、データにはあまり焦点を当ててこなかったと思いますか。

Grant:データサイエンスチームの焦点は常にデータです。テクノロジーは物事を容易にするために存在します。その反対であってはなりません。データについてよりも、テクノロジーについて、誰かをより長い時間トレーニングする必要がある場合には、もしかしたら、あなたはやるべき仕事をしていないのかもしれません。もしかすると、適切なツールを選択しなかったか、設計を過度に複雑にしてしまったのかもしれません。実用性の観点から、ツールはセグメント化されました。 

ツールのポートフォリオが必要だと思います。ユースケースを見る前にテクノロジーを選択した場合、あらゆるユースケースを1つのツールに詰め込む必要はありません。私は、ユースケースを見て、それに最適なソリューションを考え、どのテクノロジーがユーザーの作業を容易にできるかを考えます。技術者の観点からではなく、ユーザーの観点から考えるのです。

Cindi:ポートフォリオ内でのさまざまなツールの役割を教えていただけますか。

Grant:いくつかのBIツールがあります。ThoughtSpot、MicroStrategy、Tableau。これらはすべてSnowflake上で実行されます。これらのツールは、インサイトを探すユーザーを圧倒してしまうことがあります。ThoughtSpotは、アドホック分析やパーソナライズされたビューの作成に優れているので、OpenTableでは使用頻度の高い指標、最も一般的なKPI、最も関連性の高い履歴データを ThoughtSpotに取り込んでいます。

すべてのデータを投入したいところですが、費用対効果の観点から制限があります。私たちはThoughtSpotを、どんなユーザーでも気兼ねなく質問を実行できるシンプルな場所にしたいと考えています。ユーザーはThoughtSpotからプロセスを開始し、特定のインサイトに絞り込むことができます。 

Cindi:Snowflakeを使用して、クラウド上のデータ共有機能を活用していますか。

Grant:まず姉妹会社でデータ共有を開始しました。次に、このデータを一部の大手飲食店グループと共有して、概念実証を行いました。一部のケースでは、独自の分析を実行できるよう、すぐに使用できるデータウェアハウスを飲食店に提供しました。飲食店のデータを使用して仮想データウェアハウスを作成できます。それは、OpenTable内部ですでに作成してあるデータウェアハウスの拡張部分として機能します。 

データが更新されると、飲食店グループはそのデータに基づいてターンキー分析を実行できます。ますます多くのお客様がこのテクノロジーに興味を示しており、データ共有がそれを可能にします。従来は、抽出、転送、ファイル読み込みを監視する必要がありました。今では、単純に、テーブルからテーブルへのレプリケーションです。量の制約がありませんから、テラバイトを数分で転送できます。 

Cindi:デジタルネイティブ企業であるOpenTableと、データに精通していない飲食店の顧客との間で違いを感じますか。

Grant:はい。しかし、デジタル企業も完全にはデジタルではありません。すべてのプロセスがデジタルというわけではないのです。ビジネスの重要なコンポーネントで、オフラインのプロセスがある場合には、それは完全にデジタルとは言えません。小さな飲食店では、予約台帳以外にデータはありません。しかし、食事をする人のことをもっと知ることができれば、需要についてもっと知ることができるのです。 

従来、飲食店はオフラインでしたが、最近はデジタルに精通した飲食店が増えています。特に、大きな飲食店グループは、データを通じて接客を向上させる方法を検討し成功を収めています。あらゆる飲食店は接客を向上させたいと望んでいますが、それを実現するためには食事をするお客様についてもっと知る必要があります。

飲食店にデータの価値を示す最も簡単な方法は、売上を上げる方法を示すことです。飲食店は、接客を向上させ、ベストな状態となるために、最良の決定を下したいと考えているのです。