「働きやすい企業」ランキングのトップ10へ到達するためにできること

権威あるGlassdoorの働きやすい企業ランキングの上位10社に選ばれると、その会社のCEOは決まってブログを更新して自社の優れた特徴を挙げ、自社がいかに顧客に愛されているかや企業文化が差別化要因である理由を語ります。

これはThoughtSpotにも当てはまりますが、それが全てではありません。世の中に完璧な会社などはなく、改善の余地は常にあります。アメリカ合衆国憲法の前文で述べている理念と同様に、社内の結束を高めるための取り組みもまた、絶え間なく続いています。

この機会を利用して、特に改善を要する点をいくつかお話ししたいと思います。このように公表することで、改善の必要性だけでなく、その緊急性を再度確認できればと思います。

より働きやすい企業となるためには、次の4つの点についてさらなる改善が必要です。

1.組織の拡大期における企業文化の維持

従業員が働きやすい会社にするには、企業文化が重要なポイントとなります。ThoughtSpotの文化は、「無私であること、優れていること」という言葉に要約されています。つまり、何事においても優れていることを目指しつつ、自分よりもお客様、会社、チームを思いやり、無私無欲の姿勢で物事に取り組むということです。

組織が拡大してもこの企業文化を維持することは容易ではありません。多くの場合、組織の拡大につれて設立当初の理念が失われます。当社は従業員が500名を超えており、次の成長段階に入りつつあります。企業文化の浸食の脅威から逃れることはできません。

そのため、人材の管理など、企業文化の成文化、維持、拡大を可能にする分野、言い換えればスタートアップ企業が見過ごしがちな分野へ投資することが極めて重要です。しかしながら、管理に集中するあまり、私たち本来の特殊な企業文化たらしめる有機的な性質を損っては元も子もありません。微妙な手綱さばきでバランスを取る必要があります。

2.イノベーターのジレンマからは逃れられない

あらゆる業界において、創造と破壊のサイクルが短くなっています。ThoughtSpotはアナリティクス業界に変革をもたらしている急成長のスタートアップ企業ですが、私たち自身もそのような変革の影響を免れません。私たちも他社と同じくイノベーターのジレンマに直面しています。既存の事業にリソースを集中させるか、今後の成長のための開発にリソースを割り当てるかで頭を悩ませています。

たとえば、当社が7年前に創業したときには、高速CPUや大容量メモリノードに関して、クラウドコンピューティングは現在のような形では利用できませんでした。私たちのチームは難しい選択を迫られましたが、オンプレミスからエッジ、マルチクラウド、モバイルに至るまで、どこでもデータを活用できる世界を実現するために、プラットフォームアプローチをとり、ThoughtSpotを設立しました。

常にこのような難しい決断を続けていかなければなりません。過去数か月に、SpotIQ、 Monitor、InsightsFeedなどの新機能をクラウドデータウェアハウスに取り入れる一方で、DruidやKafkaのような新しいデータソースにも積極的に取り組んでいます。しかしながら、むやみに新技術を取り入れるのではなく、事業上の成果を意識してより一層製品づくりに取り組む必要があります。

お客様は、いずれすべての製品が時代遅れになることを知っています。お客様が必要としているのは新たなベンダーではありません。クラウドやAIなどの技術を取り入れながら、自分の代わりに責任をもって迅速に革新を行ってくれる、信頼のおけるパートナーです。お客様は、従来のアナリティクスツールがクラウドでは役に立たないことを知っています。

家を新築するときのことを考えてみてください。時間と労力を費やして家の枠組みを構築し、完璧な照明や内装を選んだとします。仕上げに、ほこりにまみれでカビのはえた古いカーペットをその家に持っていくでしょうか。

ThoughtSpotは、何百もの大手顧客企業によって、現代の優れたアナリティクスベンダーに選ばれました。それらの企業には、Global 50(グローバル50)にランクインした企業の1/3近くも含まれています。高いハードルですが、品質と迅速さの両面で、約束を果たさなければなりません。

3.UXにおける独自の課題

ThoughtSpotは、製品デザインにおいて独自の課題に直面しています。アナリティクスとBIの業界では従来より、デザイン上の満足度よりも効率と技術的能力を重視するデータ専門家に対してサービスが提供されてきました。

しかしながら、業界は変わりつつあります。ビジネスユーザーは、これまでにないほどにデータから得られるインサイトを必要としていますが、複雑なデータシステムを学ぶ時間はありません。そのため、ThoughtSpotは、データアナリストと一般のビジネスユーザーの両方にとって魅力的な製品を開発しています。しかしこれにより、ユーザーエクスペリエンスの問題が浮上しました。迅速さと移植性のためにコーディングを好むアナリストがいる一方で、ビジネスユーザーは経験が浅く、InstagramやPinterestのようなユーザーエクスペリエンスを好むかもしれません。1つの製品でこの両者を満足させることは、UXをデザインする上で大きな課題となります。

この分野に関して私たちは大きな前進を遂げました。ThoughtSpotは、コンシューマー業界出身のBob BaxleyをSVP of design and experience(デザインおよびエクスペリエンス担当SVP)として新たに迎え入れました。また、ThoughtSpotのデザインをエンタープライズテクノロジーの基準に押し上げられるような優れた人材を確保するために、大手のデザイン学校とも提携しました。

私たちは、現在のユーザーエクスペリエンスを素晴らしいものにするだけでなく、幅広いユーザーにとって包括的で魅力的なUXを織り交ぜることで、2025年以降のトレンドを築くブランドになることを目標にしています。

4.ThoughtSpotも直面する、多様性に関する業界全体の問題

チームの多様性が高まるほど職場環境の改善が進み、さらなる革新が生まれ、業績が向上します。そのことは認識していても、ThoughtSpotは多様性のあるチームの実現に苦慮しています。

多様性は性別だけに関するものではないことを認識することが大切です。社会経済上の地位、年齢、職歴、学歴、人種、民族、性別、性的指向に関して、私たちを取り巻く世界と同じように多様性のあるチームが必要です。

これは容易に対処できる問題ではなく、改善にはさまざまなアプローチが必要です。まずは、候補者の採用経路を全体的に拡充し、あらゆる分野から優秀な候補者を確保できるようにする必要があります。そのためには、次のようなことが必要です。

  • 多様性を尊重する旨を求人情報に意図的に記載する

  • すべての候補者に対して、一貫性のある公平な面接を行う

  • 面接官に研修を実施して、候補者が問題についてどのように述べるかではなく、問題をどのように解決するかに焦点を当てて、候補者を幅広く検討できるようにする

ThoughtSpotはまた、本社を持たない(#NoHQ)というポリシーをかかげ、世界中のどこにいても、誰もが私たちのチームに参加できる機会を設けています。

ただし、真に多様性のあるチームを作るには、採用の枠を超えて、ThoughtSpotでの経験を考える必要があります。チームメンバーが仕事以外の活動にも対応できる柔軟なスケジュールを組めるようにすることから、従業員の福利厚生を引き上げることまで、取り組みを順調に進めています。それでも、メンバーの貢献度を評価し、それに報いることに関して、チームから無意識の先入観や集団思考を取り去るにはさらなる取り組みが必要です。

これらの取り組みはいずれも完全なものではなく、確実に解決できる方法はありません。それでもThoughtSpotは、私たちをとりまく世界と同じくらい多様性に満ちたチームを実現し、多様性に向けて大きな一歩を踏み出すための取り組みを続けています。

本日はThoughtSpotにとってとても喜ばしい日です。社内でよく言うように、私たちはまだほんの2%しか達成していません(we’re only 2% done)。これまで経験したどの職場よりも働きやすい職場の実現に向け、取り組むべき課題があります。